[炎と氷]
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丹田から溢れた気は性器の付け根を通って尾?に導かれる。
尾?に導かれた気が臨界量を越えると爆発的に背骨の中の気道を駆け上がるらしい。
しかし、世俗的な煩悩にどっぷり浸かった通常人にとっては、それは命取りになるので避けなければならないのだ。
ただ一つ、尾?から貯まった気を抜く方法がある。
それは、女と交わって精を放つ事だ。
尾?に蓄えられる気は「性エネルギー」なのだ。
尾?から気が背骨を登った時、俺が強い性的快感を感じたのはその為らしい。
多くの宗教で、修行者にとって「姦淫」が禁戒となるのは、「悟り」に必要な性エネルギーの損失を防ぐ意味もあるらしい。
だが、裏道を行く者は何処にでもいる。
女と交わって「性エネルギー」を奪い取って取り込む技法が存在する。所謂「房中術」だ。
性器を通して女から盗んだ気を丹田に送る。
だが、「性欲」は人間の持つ「煩悩」の中で最も強いものの一つであり、気の上昇時に命取りとなりかねない諸刃の剣である。
それ故に、邪道・邪法とされるらしい。
また、直接尾?ではなく丹田に気を送り込むのは、女は「性エネルギー=生命力」を本能的に引き込む力が強いからだ。
気の漏出を防ぎ、溜め込んで置く力の弱い尾?に接続すると逆にエネルギーを奪われてしまうのだ。
ヨガの行者や房中術を使う連中は「性器の付け根」を通して丹田から尾?へ気を圧送するらしい。
「性器」の部分は「気」を「性エネルギー」に変換して尾?に送るポンプの役割をするということだ。
俺はマサさんに女から「精気」を奪う技法についてもレクチャーを受けた。
その時注意されたのは、同じ女と行う時は、行為の間隔を1週間以上開けること。
週1回のペースで3ヶ月行ったら、次に行うまでは6ヶ月以上開けることだった。
俺はマサさんの話を余り本気で聞いていなかったし、房中術の話は眉につばを付けて聞いていた。
ただ、娑婆に戻ったら絶対に試してやろうと思ってはいた。
娑婆に戻った俺は、郷里を離れる前、店外でもよく逢っていた「オキニ」の風俗嬢の部屋に転がり込んだ。
前に書いたように「精力」を抜き取られる時の快感は非常に強く、その快感に飲み込まれた状態を「色情狂」と言う。
俺はマサさんにレクチャーされた内容を当時21歳か22歳だったその子で試した。
房中術の話を聞いた彼女も「ヤル!」と乗り気だった。
彼女の中に挿入して暫くの間、彼女は「余裕」だった。
クスクス笑いながらクイクイ締め付けたり腰をくねらせたりして俺を攻め立てた。
しかし、マサさんに習った方法に従って「導引」を仕掛けた瞬間、様相は一変した。
急に余裕がなくなって激しく喘ぎ出し、あっと言う間に逝ってしまったのだ。
彼女曰く、今までに感じたことのないような強い快感が信じられないくらい長く続いたと言うのだ。
逝ったことはあるがこんなに凄いのは生まれて初めてだと。
ここで俺は大きなミスを犯した。
マサさんの警告を無視して、彼女の求めるままに再度そのまま交わってしまったのだ。