[月曜日の夜]
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部屋の電気は付けたままだ。
そういえば、鍵だけ閉めて飛び出してきたんだ。
エレベーターに乗り5階へ。
どうやら私の話を反芻していた友達も、僅かばかり緊張しているようだ。
5階までの道のりが妙に長く感じる。

ガタン、という音の後、すーっとエレベーターの扉が開いた。
踊り場には誰もいない。
ゴクリとのどを鳴らし、おそるおそる部屋の鍵を開けた。

ガチャリ
ゆっくりと扉を開ける。
リビングから漏れた光に照らされるキッチンには誰もいない。

「誰もいなそうじゃない?」

「いや、ベットの部屋から音が聞こえたんだよ。」

キッチンからベットルームを覗くには、リビングを経由する必要がある。
友達の背に隠れるようにリビングへ。
なぜか私も友達も、ゆっくりと足音をたてずリビングへ向かう。

リビングにも誰もいない。
ただ、PCだけが機械的なファンの音を鳴らしている。
ここまで来ると、二人とも無言になった。
私も相当緊張しているが、しっかり組んだ腕から友達の体も硬くなっているのが伝わった。

ここで誰もいないのを確認すれば、全てが終わる。
私の勘違いで全てが片づく。

・・・はずだった。

寝室を覗いた瞬間、友達の体が大きく後ろに尻餅を付いた。

「あ、、、、あ、、、、あ、、、」
言葉にならない声を出している友達を見て、全てを悟った。
それは、いたのだ。
私には恐ろしくて見れなかった。
とにかく、この部屋を出よう、
私たちはお互いを支え合うようにして、何度も腰を抜かしながら部屋を出た。

エレベーターなんて待っていられない。
非常階段を駆け下り、あてもなく逃げた。
何から逃げているのか分からない、でも、とにかくマンションから離れたい、その一心だった。

「う、うちに行こう」
友達はそう言い、タクシーを拾い友達宅へ向かった。
続く