[月曜日の夜]
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そう思い、部屋の明かりを付け、少し休憩することにした。
寝室と仕事場をつなぐドアは開け放たれていたため、明かりが寝室に漏れている。
でもなぜか確認するのが怖かった。
空耳だと思うよう努めたが、今思うとあの音は、やはりはっきり聞こえたように感じるからだ。
こんな都会なら、もしかすると外から部屋の暗さに目を付けた空き巣かもしれない。
鉢合わせになって殺されでもしたら溜まったもんじゃない。

どうしよう・・・

この後の行動をどうしようか思案に暮れていたら、相当時間が経っていた。
そうこうしているうちに、大分気持ちが落ち着いてきた。
鍵はしっかり閉めていたし、第一、ここは5階だ。
進入する手間を考えてみれば、空き巣だってこんな処を狙うはずはないだろう。

あらぬ心配でガタガタ震えていた自分が馬鹿みたいだ。

時計を見たら、12時を過ぎていた。
そういえば、次の日は火曜日、朝イチでクライアントと打ち合わせだ。
作業も切れの良いところまで進んだし、休憩といわず、このまま眠ることにした。

・・・不意に目が覚めた。
眠り始めてどれくらいたっただろうか。
枕元の時計を見ると、午前2時を回った頃だった。
やばいな、結構目が冴えてる。
明日早いのに、このまま眠れなくなったらどうしよう。
ため息をつきながら、壁際に向いた体を、くるりと部屋の方に向かって寝返りを打った。

!!!
ちょっと待って・・・・・・今の、何だ?
あ、足下の方に、天井から何かぶら下がってる!
天井の板がはがれた???いやいや、天井、コンクリートだし。
全身から汗が噴き出た。
心臓が口から飛び出しそうだ。
夜のあの音といい、この部屋、誰かいる?
でも、寝る前は誰もいないのを確認したし、引っ越したばかりのこんながらんとした部屋に、
隠れる場所なんてどこにもない。
じゃあ、なに?

見たくない、怖くて見れない、でもこのままじゃ不安でいてもたってもいられない。
恐怖を押し殺し、布団の端からアレを覗き見た。

何もない。
やはり見間違いだったようだ。
よくある、擬金縛りの時に見ると言われる幻覚だった様だ。
しかし、その夜は興奮しすぎたためか、一向に眠くなることはなかった。
打ち合わせには、寝不足の真っ赤な目をして向かうことになった。

続く