ところが、 
「違う!そんなんじゃない。どうなっても知らないぞ!」 
とCは強い口調で反発しました。 
ただ私たちも、もう乗ってしまった流れを止めるわけにはいかず、 
B「あほらしい。行くぞ」 
という一言で歩を進めることにしました。 
Cはそれからは黙って歩いていました。 
100メートルくらい来た時でしょうか。 
何十メートルか先の波打ち際に人影が見えました。 
その人影はどうやら海を見ながら歩いている様子でした。 
私たちは、教師が見回りをしているかもしれないと思い、 
咄嗟に岸壁を背に身を屈めました。 
その人影が波打ち際を歩き、徐々にその影が大きく見えてきました。 
ただその人影は何か異様な雰囲気を漂わせていました。 
やがてその姿がはっきりとした形になってきました。 
その人影は長い髪の女性でした。 
A「こんな時間に変だよな?」 
私「ただの散歩じゃねえの?」 
B「夢遊病とかじゃねえ?」 
などと勝手なことを言っていたのですが、 
私はふとCのことが気になりました。 
彼の方を見ると、俯いて震えながら何やら言っています。 
耳をそばだててみると、 
「助けてください・・・、助けてください・・・」 
と繰り返しているではありませんか。 
女性は私たちの見える場所で海を見ながら、 
つまり、私たちに背を向けて一旦立ち止まりました。 
続く