[奇数]
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Bは絶対に行きたくないと行ったが、一人で家に残るのも何だし、車で待機してるという事になり出発した。
ちょうどBの車がワゴンで6人全員乗れた。
廃ラブホへ向かう道中、Cがずっとハシャいでて、「ビビってんのかよ(笑)」とBをからかっている。
そんな中、雰囲気を出す為にEが話し始めた事があった。

E「心霊スポットとかには奇数人数で行かない方がいいだってさ」
俺「なんで?」
E「ほら、車って4人とか6人乗りだろ?3人とか5人とかで行くと席が余ってると思って憑いてくるんだとさ」
A「こえぇ・・・」
そんな話を聞いて俺もちょいビビってしまった。そして気づく・・・

俺「あ、でもBが車で待機だと俺達5人で行く事になるから憑いて来ちゃうんじゃね?」
E「じゃあ俺がBと一緒に残るよ(笑)」
何だよ、実はビビってんのかよとみんなケラケラ笑い出す。そして廃ラブホに入るメンバーは俺、A、C、Dと決まった。
間もなくして現場に着き、4人が車から降りた。人数がいるせいか前に来た時より気味が悪いとは思わない。
すると、Dが廃ラブホを目の前にして突然行きたくないと言い始めた。

D「俺、行くなんて言ってねーし・・・絶対に行かねー」

もうDは本当について来そうな感じはないし、俺含む3人は困ってしまった。これじゃまた奇数だろと・・・

E「仕方ねー、俺がDと代わってやるよ」
すると、Eが車から降りて言ってきた。メンバーは変わったがこれでまた4人揃った。
まず俺を先頭にして、次にA、C、Eと並んで進んで行った。
先頭は最初に進むから怖いし、一番後ろはみんな走ったら一番最後になるから怖いよなとか、そんな話をしつつまず管理人室へ。

小さいがLEDライトを持っていた俺は辺りを照らしながら進み、みんなも携帯のライトで照らしていた。
管理人室は高床式になっていて入り口は床が腐って抜けている部分もあって、慎重に進まなければ怪我をしてしまう。
中に入るとジメッとした空気で急に薄気味悪い雰囲気が漂った。何の手入れもしないでいるから湿気ているんだろう。
中をライトで照らすと辺りはコンビニのゴミやらタバコが乱雑してて、スプレーの落書きなんかもあった。
こんな場所だから他にも肝試ししる奴やホームレスなんかも来るだろうな。まぁ、このくらいは想定内だった。

俺「オイ、下に降りる階段があるぞ」
俺は入り口からすぐ左の所に下へ降りる階段を見つけた。

A「本当だ、降りるの?」
C「ここ何もねーし降りてみようぜ」

俺が妙に感じた事は、高床式とはいえ下に続く階段が外の階段より長く見えた事だ。
まぁ、暗いから目の錯覚かもしれないし、もしかしたら変わった構造の建物なのかも。
階段を降りると従業員の休憩室なのか交換用なのか、布団が沢山ある部屋に着いた。そこも吸い殻やゴミがある。
ホームレスなんかは冬凌ぐには最高の場所なんだろうな。でも、誰もいない・・まぁ、気味の悪い所だしな。そんな事を考えながら辺りを見渡す。
広い部屋は無いが小さな部屋がゴチャゴチャとあり、入り組んだ作りだが思ったよりデカい建物みたいだ。

A「やっぱりホームレスとかの溜まり場になってんだね」
C「つうか、ここ管理人室だろ?自殺があった部屋ってここじゃねーだろ」
そりゃそうだ、管理人室は何かあるはずもない。4人は階段を上り管理人室を出てついに部屋に向かう事にした。

俺「なぁ、でも自殺があった部屋ってどこだよ?E知ってる?」
E「いや、それは俺も知らない。とりあえず手前の部屋から行ってみる?」
個室は下が駐車スペースで上が部屋になっていて、狭い階段上がらなければならない。

階段を上がると右に風呂とトイレ、まっすぐで部屋。テレビなんかの大きな家電はなく、ベッドやソファーや小物はある。
今時のラブホと違い、古臭い感じの部屋だ。思ったよりも綺麗だが、やはり人が入った形跡がある。

俺「とりあえず何か探してみようぜ」
みんなはベッドやらソファーを動かしたり壁を見渡す。俺は何気なく風呂に向かった。
風呂を開けてライトで照らすと浴槽に血か・・・?と確信がなかったから、大して驚く事もなくみんなを呼ぶ。

俺「おい、ちょっと来てくれ。血みたいのが付いてるぞ!」
E「うわっ、何これ?血?血だよな?」
いや、実際、血じゃなければ何なのかと・・・浴槽の縁からタラーと跡が残っている。それも少し出血といった量ではない。
気味が悪いがみんなのテンションは上がっていた。しかし、他に特別なものはなく、次の部屋に向かう事になった。
部屋は奥に進むように並んでいて、ざっと見た感じ10部屋以上はある。そして2つ目の部屋。が、特別何も無し。
3つ4つと進むにつれて、部屋のガラスが破られていたり、外にソファーが投げ出されている。
それはいかにも誰かが荒らしたような感じで、もう4人は緊張感が解けて白けてきていた。

続く