[奇数]

今から話す事は5年前に俺が実際に体験した話です。

当時、高校を卒業して2年目の社会人だった俺は、専門に通ってて、高校の時から仲の良いAとよく遊んでいた。
Aとは平日でも休日でもお互い仕事と学校の終わった夜に遊ぶ事が多くて、よく2人とか他にも仲間連れてドライブをしていた。
とは言っても、住んでる所は田舎で地元にいてもする事がない。大体は地元から車で一時間程の所にある栄えた街(以下A市)で遊んでた。
その街からまた一時間くらい峠道を走ると海沿いで栄えてる街(以下B市)があって、よく行き来していたんだ。
その峠道は峠と言っても車の通りが多くて、ラブホが密集したありがちな峠道なのね。

ある日、いつものようにAとドライブに出て、A市からB市へ走っていた。いつも通り俺が運転でAが助手席。

A「いつも思うけど、このラブホどこから入るか分かり難くねぇ?」
俺「おぉ、だよな。客呼ぶつもりあんのかな(笑)」
こんな感じでふざけた会話をしながらB市に着き、しばらくブラつき帰るかってなった時。Aが何気なく話し始めた。

A「ずっと気になってたんだけどさ、あの峠の廃ラブホ何だろうな?」
俺「え?あの峠に廃ラブホなんてあったっけ?」

いつも運転していた俺は廃ラブホの存在に気付いてなくて、Aもその時初めて話したんだ。

A「ほら、A市から出て2つ目くらいのラブホ過ぎて左側にある場所だよ」
俺「?・・・わかんね。気付かなかった。じゃあ、帰りに寄ってみようぜ」
それでB市からA市に向かって走りだした。

A「あ、ゆっくり行って。もう少し・・この辺だよ」
俺「・・・なんだここ?」
他のラブホは2軒3軒で固まってるんだけど、その廃ラブホは離れて1軒だけでポツンとあった。
当然、灯りもない訳だから暗くて、道路より高い位置に建っててたから俺は今まで気付かなかったんだ。
そして、ラブホの入り口に駐車して外に出てみる事にした。
入り口には門があり車は入れないものの、人なら簡単に入れる状態だった。
入り口から向かって左側に管理人室みたいなのがあり、部屋は昔の一つ一つ独立したタイプで、ポツンポツンと部屋が奥に続いていた。

俺「なんだここ?気持ちわりーなぁ」
A「やっぱり何かあった場所なのかな?」
かなり興味はあったものの、その日はそれで帰った。そして、別の日、A市の友達のB宅で6人たむろって話しをしていたんだ。
そして、あの廃ラブホの事を話してみた。

地元のBなら何か知っているだろうと思っていた。

B「・・あぁ、知っているよ」
俺「あの場所何かあったの?」
B「あのラブホでカップルの首吊りがあって廃業したんだよ」
まぁ、大体予想は出来るありがちな話だ。大して驚きはしなかったが、正直、気味が悪いなとは思った。
そして、男6人も集まってそんな話をしているとテンションが上がるもんで、誰ともなく行こうって話になった。

B「いや、俺は絶対に行きたくねぇ」
Bがそう言うと一瞬だけ白けた空気になったが、その場は行きたいという奴が多かった。
俺は霊とか全然信じてないけど、怖いもの好きで雰囲気を楽しみたい。
Aはビビってるものの、みんなが行くなら着いて行くよって感じ。
Bはなんとなく話し始めた時から感じていたが、相当ビビっている。
Cはかなり気の強い奴で霊感もあると言う、普通霊感あるとか言う奴は行きたがらないもんだがかなり乗り気だ。
Dは興味無さそうだが、怖がる様子もなく行ってみるかといった感じ。
Eも地元が隣町でその廃ラブホの事を知っていたが、着いてくる雰囲気だ。
まぁ、それなりに悪さする奴らばっかりだからノリは良くて、特にCはかなり乗り気だった。

続く