[峠道]
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次のコーナーに近づくと、また何人かギャラリーがいました。でも「何か変だ
な」と思いました。コーナーが近づくにつれてその違和感の正体がわかりまし
た。そのコーナーにいた連中は、先ほどの駐車場にいた連中としか思えません
でした。思い返すと最初のコーナーにいたのもそいつらだったような気もしま
す。
あれ、まさか?と思って脇を通り過ぎながら連中に目線をやりました。

そいつらは私たちを睨みつけてました。黒目のない目で。

私は絶叫、気づいた友達も隣で絶叫です。総毛立つ思いでそこを通り過ぎました。
とにかく早くここから離れたい一心です。それなのに、次のコーナーのところに
人影がみえます。まさか、まさか・・・と思いましたが、やはりそれはそいつらで
した。

そいつらは私達に背中を向けて立ってました。でも首はこっちを向いていたんです。

そこからは地獄でした。次のコーナー、その次のコーナーにもその連中が立って
いて私たちを睨みつけているんですから。
自分たち以外はすれ違う車も後から来る車もないし、心細いことこの上ありませ
んでした。ようやく町に出たときは心の底から助かった、と思いました。

友達を送った後で自分のうちに帰りました。週末なのにあまりに早く帰ってきたので
母親がびっくりしていましたが、先ほどの事を話す気にはなれませんでした。
母親に風呂があるから入れと言われ、そのときには大分落ち着いてきてたので、言わ
れるまま風呂に入りました。そして頭を洗っていると、

何かが頭に「つんっ」て当たったんです。

一瞬何なんだ?と思いましたが、頭が泡だらけで目を開けられません。気にしないで
またごしごししだしたら、また頭に何かが当たるんです。今度はさすが気になって、
無理に目を開けてみました。すると、

風呂の窓から、あの連中が身を乗り出してこっちに手を突き出してたんです・・・

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