[お守りの水晶]
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その日から大学へ行くたびに「どうだ?まだいるか?」とYに
聞くこと5日目・・・「ああ、いなくなってるわ。」とこともなげ
に答えるYに対して大喜びの私。「お祝い、お祝い」と私の
おごりで飲みに行きました。その席でYは私に「一度霊が憑くと
癖になることがあるんだぜ。」などと私を脅すので、私はYに
お願いして水晶のブレスをお守りとして譲り受けました。

そのことがあってから4年後、Yは投身自殺をして亡くなりました。
現場、自宅ともに遺書のたぐいは何も無く家族、同僚ともに
Yが思いつめていた様子も無く、理由は全くわからないそうでした。
「お守りが形見になったな。」と思いながら大学時代のことを
考えながら家路につきました。
そして6年後。すっかりYのことや、霊が取り付いたことも
忘れていた私は同僚、後輩の強い誘いもあって、10年ぶりに
ブラックバス釣りに行く事になりました。行き先はS県B湖・・・
久々とはいえ良くかよった場所だけに結構、大物が釣れ後輩が
「Nさん、記念写真!!」と大物を自慢げに持つ私を、使い捨て
カメラで撮影しました。

久しぶりの釣りで大物を手にした私は、ご機嫌で家に帰り妻に
あれこれ話した後、激しい疲労感からか落ちるように眠りに
就きました。
次の朝、目を覚ました私は「何か変な夢をみたなあ。」
という記憶と抜けきらない疲労感を覚えたまま職場へと
向かいました。するとB湖で私の写真をとった後輩が
血相を変え近づいてくるのです。
「Nさん、昨日の写真を現像したんですけど、やばいんですよ!」
「何がやばいんだよ? 見せてみろよ」と私が手を出すと
後輩は震える手で写真の束を渡したのです。

続く