[お守りの水晶]
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やや陽射しがきつかったので、逆光でうまく撮れていない写真が
何枚かあったのですが問題の一枚を見た瞬間、私はあまりの
恐ろしさに震えていたと思います。
ボートの上で座って魚を右手で持ち、ボートのふちを握っている
私の左手、その手首が湖から伸びた青白い手に握られているのです。
更に2枚目には、青白い手と濡れた髪が張り付く頭が写って
いたのです。私はその瞬間、大学時代の事件を思い出して
「水晶のブレスを・・・」と考えたときに今朝の変な夢を
思い出しました。
夢の中で男が「また近づいただろう。また近づいただろう。」と
繰り返していて、だんだん遠ざかっていく夢だったのです。

その男はYだったのです。なんともいえない寒気を感じた私は
早退し、家で机の引き出しから水晶のブレスを取り出し腕に
つけたのです。
恐怖を感じながら、すごすうちに妻が仕事から戻ってきました。
どうやら体調が悪いらしく、「頭が重いし、寒気がする」と
言い、早々に床に就きました。何とか寝ようと思い強めの酒を
ガブガブ飲んで酔っ払い、ベッドでうとうとして、また夢を
見ていました。「お前じゃない。お前じゃない。」とYが言って
いるのです。ふと目を覚まして「お前じゃないってどういうことだ」
と考えていると、妻が恐ろしい声でうなり始めたのです。

明らかに何かにおびえている様子だったので、「オイ起きろよ!
オイ起きろってば!!」と必死で妻を起こしました。
目を覚ました妻が言ったことは、私を恐怖で凍らせました。
「全身びしょ濡れの女が私を引っ張るのよ!!いくらもがいても
放さなくて!」そう言いながら怯えきっているのです。
その女性の霊は私にとり憑いてその後、妻に憑いていたのです。
私はあわてて水晶のブレスを妻の腕につけかえました。
その瞬間、なんと水晶のブレスがはじけ飛んだのです。
妻と二人で怯えつつも水晶を拾い集めました。
水晶のブレスはワイヤーが切れてその場に落ちたとかではなく、
約3m四方に飛び散っていたのです。

怯えた妻を抱きかかえながら、二人で震えていたのですが
そのうち私はうとうとしていました。そしてまた夢を見ました。
夢の中でYは「身代わりだよ。身代わりだよ。」と
繰り返していました。
水晶のブレスが妻の代わりに霊の怨念?を受けたのでしょうか。
その後水晶を宝石屋に持って行きブレスにしてもらいました。
今でも私の左手首に常についています。
私は2度と水辺に近づかないことを誓いました。

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