[雪山での遭難]前ページ

「おおーーーい!おおーーい!」



人の声が聞こえてきた。


「助けに来た!」
「おおおーーい!ここだーーー!おおおーい!」

一同は胸をなで下ろした。助かったと・・・


「あれ?」

Kが不信な声をあげた。
「何か声が遠くなってないか?」
「吹雪で声の出所がわからないんじゃないか?」
「うそだろ?!」
私たちは声をあらん限りの叫んだ。
しかし、助けの声はいまや聞こえなくなり聞こえるのは吹雪く
風の音だけであった。


「おい!もう一度携帯を・・・」
Kが言うよりも先に電話を試みた私は、声もなく首を振った。
「圏外になってる・・・」
「もう限界!あたし行くからね!!」
突然M子は立ち上がったかと思うと、吹雪のなかを走り出した。
「おい!待てよ!!」
止めようとしたKだったが、足が雪にとられ転倒した。
「M子!!」
T美が狂った用に叫ぶ中、私はM子の後を追った。
はっきり言って最悪の事態だった。
下手をすれば全員死んでしまうかもしれない。
そう思いながらM子のちらほら見える後ろ姿を追う。
しかし、彼女の足は存外の速く、その姿はしばしば吹雪に遮られる。
「止まれ!死んじまうぞ!!」
そう叫びながら追う私は、ふと奇妙なことに気付いた。
彼女の足取りは迷うことなく何処かを目指しているようだ。
「おい!待てって!!!」
彼女の姿を完全に見失った。

続く