[雪山での遭難]

この話は去年、スノボーで雪山へ行った人の話です。

実際山で吹雪かれたりすると、全くもって不安な気持ちになりますが
私たち四人の男女はまさにそんな状況に陥りました。
ブリザードを避けようと、大木の陰に一塊りなった私たちは
吹雪がやむのを重い沈黙の中、待つだけでした。

暫しの沈黙の後、友人Kが口を開きました。
「この様子だと、やみそうにないな・・・・」
そんなKに、雪山での遭難なんか想像したこともない私は
楽観的に言いました。
「平気だよ、ゲレンデからそう離れていないし・・・ほら、携帯
だって持ってきた」
「電話してよ。私怖い・・・」
そう言って不安な眼差しを向けたM子は、連れのT美にしがみついた。
この2人、実はナンパしたばかりの女の子達である。
最悪の出会いになった。「わかった」幸い電波は通じていた。
電話の向こうでその場を動かないようにと執拗に言い含められた。
「すぐにレスキュー隊が来るって」
それからたぶん十五分後、突然私の携帯が鳴りだし、止んだ。
「何・今の?」
「わからない。非通知だ」
「こんな時に間違い電話かよ!」
そしてさらに15分くらい経った。
「遅くない?」
「落ち着けよ。こんな状況じゃ探すのだって大変だ」
そうはいうものの、浸食してくる冷え込みはいや増すばかりであった。
その時!

続く