[廃屋]
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しかし、ここで帰ってしまうと明日学校で臆病者呼ばわりされるのは目に見えています。
仕方なく私は友人たちについて廃屋の中へ入って行きました。
広い屋敷の中、蜘蛛の巣で視界も悪く明かりはペンライトの頼りない明かりのみでしたが、
幸い階段の近くだったおかげで比較的苦も無く2階へとたどり着くことが出来ました。
そしてひんやりとした空気の中例の木の生えた窓のある部屋の前へとやってきたのですが、
全員ビビっていて誰も戸を開けようとしません。
しかしここまで来て行き下がるわけにも行きませんので、
「いっせーのっでっ!」
という掛け声とともに全員で引き戸を開けました。
けれど、特に何かあるわけでもなくそれどころかさっきまでの大量の蜘蛛の巣もほとんど在りません。
正直、拍子抜けです。
そして我々は部屋の中に入っていきました。
部屋の中は床を大きな木が突き破って生えており、そのままさらに窓を突き破って伸びていました。
木の周りのわずかな枝の周りには蜘蛛の巣がまるで白い布のように真っ白になるまで密集して張られた所が何箇所かありました。
「もしかしてコレが外に飛び出してたんじゃない?」
「あ、そうかも…」
「な〜んだ、面白くねぇ」

我々はすっかり場が白けてしまい、あきれ返っていました。
「つまんねぇ、このうち壊しちゃおっか?」
そういって友人の一人が例の木の生えた窓を蹴りました。
すると、痛んでいたのかあっさりと雨戸がはずれぽっかりと大きく開けてしまいました。
続く