[廃屋]

私の住む家の近所には
古くボロボロになった二階建ての大きな和風の廃屋があります。
しかもこの廃屋、ボロボロなだけではなく二階のベランダにある大きな窓の雨戸を突き破って太い大きな木が生えてきていました。
小学生だった当時の私は、通学路にあるその廃屋を不気味に思いながら
毎日登校していました。

そんなある日の事、登校中にふとその廃屋を見上げると二階の窓とそこから生えた木の間から白い布がひらひらとなびいています。
「なんだろあれ?」
と不思議には思いましたが登校中だったため確かめる時間も無く
そのまま学校へと向かいました。

学校に着くと私は仲の良かった友人達にその白い布のことを話しました。
そして、その廃屋自体がもともと有名だった事もあってその日のうちにクラス中に広まる事となり、
早速放課後、数人でその白い布を見に行ってみようということになりました。
当然、案内は私です。(正直行きたくは無かったのですが…)

放課後一度家に帰った後、私を含む6人のメンバーであの廃屋の前にやってきました。
しかし、あの木の生えた窓から白い布が無くなっていたのです。
当然みんなは私に疑惑の目を向けます。
あせった私は必死になって「本当にあったんだ」と説明しました。
そして、もしかしたら中にあるのかも知れないという話になり、中に入って確認してみることになりました。

塀を乗り越え敷地内に入ると中は雑草が生え放題になっていました。
その草むらの中、どこか屋敷内に入れるところは無いか探し、壁が一部脆くなっている所を見つけそこから進入することに、
さっそく壁を勢い良く蹴り壊れた壁板をはがしてゆくと子供が何とか通れるくらいの穴が開きました。
外から見える穴の中は真っ暗なのですが、我々の開けた穴から入る光に照らされてなんだかもやの様なものが見えます。
友人の一人が手を入れるともやが手に絡みついてきました。
「うえ〜、蜘蛛の巣だらけだよこれ」
どうやら、ずっと人の入ることの無かった屋敷の中はびっしりと蜘蛛の巣が張り巡らされていたようです。
蜘蛛嫌いの私はこの時、もう帰りたい気持ちでいっぱいでした。

続く