[いとこからの電話]
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重大な疑問にぶち当たったY。
しかし従兄弟はそれにはお構いなしで、一人でしゃべっている。
段々怖くなってきたYは、「もう遅いから」とか「親が帰ってくる」等の理由をつけて
電話を切ろうとするのだが、従兄弟は相変わらず一方的にしゃべっている。
話すペースはどんどん速くなり、テープの早送りのようで何を言ってるのか解らなくなってきた。
恐怖に駆られたYが「もういい!(電話を)切ろう!」と思った瞬間、
従兄弟の話すペースが普通に戻った。
そして次の一言が、
「どうして私だけ死ななきゃならないの・・・」と、
年相応(生きてれば)の声で言われたそうだ。
その一言で恐怖のピークに達したYは電話を叩き切った。そこで夢から覚めたそうだ。
夢から覚めたYは一瞬ほっとしたのだが、直ぐに夢の内容を思い出し、話をしていた従兄弟が
誰だったのかを考えた。そして思い出した。
Yが3歳のとき、通っていた幼稚園の火事でただ一人焼死してしまった従兄弟がいたことを。
「ただの夢であって欲しい」そう思ったYは夢の場面であった居間へ行き、
そこで2回目の恐怖に襲われたそうだ。
暗闇の中、
寝る前に消したはずのTVが砂嵐の状態で点いている。
そして、夢の中で叩き切った電話がTVの明かりに照らされ、
受話器が外れていた。
パニックに陥ったYは、電話線を引っこ抜き、自室に駆け込みTVと蛍光灯を点けっぱなしで、
布団をかぶったまま朝を迎えたそうだ。