[子犬]
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Kも私も怪談話を聞いた後だったので真っ暗な校舎内を一人で歩くのはきついものがありSは語り部になるくらいのオカルト好きなので 
「俺がついてってやる」と余裕をかましてました。
とりあえず私は怖かったので二人を実習室で待っていることにしました。
10分くらい経っていたでしょうか、二人がなかなか戻ってきません。
「何してんだ・・早く帰りたいのに」と少し切れ気味になっていた私は
待ちきれずに怖いながらも一人で教室に向かうことにしました。
その時 窓から入る月明かりだけを頼りに教室を目指していたのですが
暗さや怖さとはまた別に嫌な感じが私を取り巻いていました。
しかしそんな事より早く帰りたいという気持ちが強かった為
気にせずに教室に向かいました。

教室に着くと嫌な感じは、軽い吐き気を覚える程にまでなっていました。
中に入ると教室の中は真っ暗で、見た感じ誰かがいる様子はなかったのですが
人の気配はあり「ははぁ あいつ等俺を驚かそうとしているな」と思っていました。
「おぃ!ばればれだぞ!早く帰ろうぜ!」
私は廊下にまで響き渡る声で怒鳴りました。
その時です、私の声に勝る勢いで怒鳴る声がしました。
「来るな!!」
驚きながらもその声のする方を見ると何かがKの机の前でうずくまっています。
なにがなんだか理解できずにいた私は取り合えず教室の電気をつけました。
電気をつけると吐き気も次第に薄れ
うずくまっている正体もKだということが分かりました。
「何やってんだよ!おせーよ!」
何がなんだかわからないのと、早く帰りたい気持ちで私は怒りに満ちていました。
「ごめんなさい・・ごめんなさい・・」
Kは顔を伏せたまま痙攣し歩けない程震えていました。
「Sは?Sは何処いった?」
「ごめんなさい・・」
尋常じゃないKの震えで悪ふざけでは無いことだけは分かりました。

続く