[兵隊さん]
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一人ではどうしようもないので先生に怒鳴られるのを覚悟で廊下の電気を全てつけ
Kをどうにかおぶさりながら職員室に飛び込みました。
先生を一人つれ
私は教室にもう一度行くと、さっきは気付かなかったのですが
一番左側の窓が開いてカーテンがヒラヒラとしていました。
ついてきた先生とその窓に近づくとSの物だと思われる上履きが
綺麗に二つ並んでいました。
その後 学校中は大騒ぎになり
私は何が起きているのかいまだに分からないまま 
まだ震えのおさまらないKの横で呆然としていました。
その日の深夜
テレビのニュースでは私の学校で投身自殺があったと報道していました。

翌日は学校に登校する気にならなかったのですが
学校から直々に呼び出しがあったため
行かないわけにはいかず、親と一緒に登校しました。
学校の周りにはマスコミと思われる車が3、4台停まっていました。
私と親は学校に入るなり会議室に通され
そこにはKとその両親とSの両親がすでに待っていました。
Kは昨日より随分落ち着いていたようですが
暗くうつむいたままこちらを向こうともしませんでした。
昨日の出来事を一通り聞かれた私とKは、二人とも当事者であるのに答えは曖昧で
結局なにも分からないまま その日は帰ることになりました。
帰り際 Kが私の近くに来てボソッと「あいつは兵隊に殺された」といいました。
それをいった後Kはそそくさと車に乗って帰ってしまいましたが
携帯にメールで『後で電話する』とメッセージが入ってきたので
Kからの電話を待つことにしました。

家に帰ってしばらくするとKから電話があり
Kは昨日の一部始終を静かに語りだしました。
KとSが腕時計を取りに行く途中から教室に入るまで
に私の感じた吐き気を体感していたようです。
そして、教室に入りKの机の前まで行った所で
激しい目眩と共に二人共教室に倒れこんでしまい
金縛りのような状態になったそうです。
Kの意識はしっかりしていたようで、その後のことも話してくれました。
金縛りのような状態になった後、教室内に7つの人間のような影が現れたと思ったら
Sが立ち上がり7つの影と一緒に窓から出て行ってしまった。
あまりの出来事に物凄い恐怖を覚え
体を動かすことが出来ないのが
金縛りのせいなのか震えのせいなのか分からないくらいだったそうです。
教室に行く間KとSの会話の中で
Sは『兵隊のお供え物』をやっていないと言っていたそうです。
今となってはその兵隊の呪いのせいかどうかも分かりませんが
その時はKも私も(私は一日遅れ)水と煎餅を一週間お供えしておきました。

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