[大勢の気配]
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私「ええ!?どこに?え?だれが?」
私は元彼女が被っていたタオルケットを剥ぎ取り、
頭からすっぽり被りこんでベッドで丸くなって震えた
サークルでの真っ暗な森での肝試しも、遊園地での心霊アトラクションも
まったく平然とやり過ごしてきた私が、日ごろからスカして飄々としている私が
ひどく怯えてガタガタ震えているのをみた元彼女は
そんな私が珍しいのか、ひどく滑稽なものをみるように
元気良くケラケラと笑い、
「あー、もういなくなったよ?うん。いないいない。帰ったみたい。」
といった。
「は? え?」
と思ったが、とにかく無心に彼女に抱きついてベッドに入った
いつもはひどく怖がりなその元彼女は、ひどく狼狽している私を落ち着かせるために
私をトントンと叩きながら
「そういえば、今日お彼岸の日だよね。鹿鳴館にでてくるような格好した人たちが大勢いたよ」
とポツリといった。
元彼女の先祖の系統で、戦前に総理大臣がでたんだよ、という自慢を前に聞いていた
お彼岸の日に、元彼女はよく似たような霊をみたり身近に感じるといった
それは怖くないらしい(他は全く霊感働かないらしい)んんん・・・
後日、「俺ってやっぱ歓迎されてないんだろうな、元彼女の祖先の霊たちに・・・」
と一人で納得した
いま考えてみて、私が浮気しても散々振り回しても彼女は常に笑顔で元気に振舞っていた
いま考えてみると、彼女はどれくらい苦しんだのだろうか…心が痛む
私をやりこめたのは、誇りある祖先なら当然だ、
私は心の中で謝罪した
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