[蝋人形の館]
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それが蝋人形だとわかるまで、時間はかかりませんでした。
小さい時ロンドンの博物館で見た、それと一緒。
ただ、この部屋と闇がとてつもなく不気味に見せる。
心なしか笑っているようにも見えるそれらは、今にも動き出しそうで。

僕「やっやっyば…」
D「なんなん…なんだこれ???」
僕「帰ろ!」
D「…いや、もうちょい見ようぜ」
ビクビクしながらもDに言われるまま、部屋を調べました。
部屋は割と広く、十畳以上はありそうな。
窓はなく、蝋の明かりがなければ完全に暗黒。
中央の蝋の下は絨毯と皿がひかれていて、等身大の蝋人形は壁に立てかけるように置かれていました。、
ライトで照らしてみると、どれも精巧な蝋人形と言う様相。。
男、女、姿、形。
そのどれもがバラバラで。一見人と勘違いしても無理はなさそうなくらい。
部屋は定期的に磨かれているようで、ほこりすらありませんでした。
D「ん?」
2人ともほぼ同時に、一つの蝋人形を見つけました。
やけに古そうな、上半身のみの人形。
中でも目立って不気味で、何かを発するような異様な雰囲気。

よせばいいものの、Dが面白そうにそれを手にとりました。
裏返すと、いかにもいかついお札のようなものが貼ってあり、
何か黒い線が、お札に隠れるように少し顔を出して。
僕「何か書いてあるな」
D「はがすか」
僕「やめろって!」
D「ここまで来たらやるしかないだろ!」
『ビリッ』

??

『3』
それだけ書かれていました。
数字で「3」と。

D「これだけか?」
僕「いや、やばいってこれ!そろそろ出ようぜ!」
D「まぁ、そうだな」
そういって振り向いた時でした。

開いてる?
確かに来る時、扉は閉めたはずでした。
僕「ひっ!」
D「な、なんかのひょうしに開いたんだろ!!ボロいし!」
僕「じゃあ何で俺らが来た時しっかり閉まってたんだよ!?…ノブ回しただろ」
D「…! そんな…ホラーじゃあるまいし…」
例の蝋人形を放り投げ、一目散に階段に向かう二人。
走って、走って。
外が見え、安心してその建物からでると…
灯りを持った人が。
一目でA達ではないと気付きました。
あいつら、いないじゃんか。どこだよ。
周りを見渡しながら、驚き硬直しながらも目はすぐにしっかりとその人物を注目し、識別する。
浴衣のような一見古風な服を着た男。ぼさぼさした髪。ホームレスのような出で立ち。
手には、鎌。

「…お前ら一体なんなんだ!?」
その一言を言い終わるか終わらないか、再びダッシュで逃げ出しました。
来た方向とは逆の道を。
後ろから何か声を上げながら追ってくるのが感じられます。
部活の時より数倍真剣に走って。
来た道と繋がっていたのか、僕達が止めた原付がとめてありました。
A達の分も一緒に。

続く