[かみ合わない]
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しかし、普通なら車が動いた瞬間
「待ってぇ〜」
と泣きそうな顔で追いかけてくるのが普通だと思っていたのだが
予想に反してKが普通に回りをキョロキョロしながら公衆電話に入ったのが見えた
しかし一瞬の事で見ていた俺たちも分からなかったが
Kがいきなり電話ボックスから飛び出て
さっきまで俺たちが車を止めていた方向へ走り去ってしまった
何が起きたか分からない俺たちだが
ライト無しじゃ、ほぼ真っ暗で
しかも人っ気がないと言っても一応道路なので、あのままじゃああぶないと思い
Uちを切り(Uターン)kを追いかけました
そして車が公衆電話の横を通り過ぎた時
私は心臓が止るかと思いました
なんと電話ボックスの中に逃げ出したKがチラッと見えたのです、
私が「ぇ!K…」と言い掛けた時
『おった!危い前!』とNが叫んだので
私は急ブレーキを掛けました。
何がなんだかわからず前を見ると驚きと泣きそうな表情のKが居たんです
私は「さっき電話ボックスにKが…」と言いたかったのですが、とりあえず先にKを車に乗せました。
そしてNがKに
『なんで向こう走って行ってん?危い』と聞くと
Kは『まず聞いてくれ…』と怯えながら話してくれました

Kいわく、
車から降りた後ゆっくり公衆電話に向っていると
『ジリリ…』
と公衆電話が少し鳴ったと言うんです
もちろん車にいた私たちは聞いていません
さらにKは続けます。
そのままキョロキョロしながら電話ボックスに入ったと言いました
俺たちはほぼ同時に
『車動いたん気付いたやろ?』と質問しましたが予想外な答えが返って来ました
「俺ボックス入ってすぐに車の方見たら俺見てニヤニヤしてたやん?」

そのまま受話器を取って耳に当ててもないのに
[ドコ いく そっチ ない]って聞こえて来て慌てて車の方に逃げた
「しかも車バックのまま逃げたやろ?」
とKは言いました。
私たちはあえてそこでKに車を動かして先で待ってたことは言いませんでした。
取りあえず一回引き返すことにして無事解散したのですが
その後
Nからの電話で
『なぁ、また夜に宝塚いかへん?』
「いいよ、また公衆電話?」
『違う、墓地』
『なんでか分かったで』
「何が?」
『お前も声聞いてたやろ?』
「…」
この後、私たちは朝鮮墓地にいきました、
その話も又聞きたい人があれば


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