[廃鉱からの発掘品]
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しかしながら、なかなか寝付けません。
そのうち背中に違和感を感じ始めました。
どうやら敷布団の下に何かがあるのです。
脱いだ服か何かの上に布団を敷いてしまったのでしょうか?
確かめようとめくると、そこには物置にしまったはずの
あの発掘物の寄せ書きノートがありました。


朝になるまで、両親がいる1階の今でテレビを見て過ごすことにしました。
私には小さい頃から物を布団の下に隠すくせがあり、
疲れたことこともあって無意識にそうしてしまったのだろうと思うことにしました。
物置に隠したのも夢の中で見た光景と考えることしました。
テレビではくだらない深夜番組が続きました。

「おい、起きろ」
父親の声がしました。
いつの間にか居間で眠り込んでいたようです。
しばらくそこでぼうっと過ごしながら、
母親が朝食の準備をするのを待っていました。

「あんた、相変わらず物好きねー 何これ?」
台所から母親の声がしました。
台所のテーブルの上には、もうひとつの発掘物であるヨーグルトの入れ物が置かれていました。
「お母さん、どうしたの? これ」
「どうしたのって、あんたが食器戸棚に置いたんでしょ?」
「え?・・・そうそう、懐かしい形だから、それで何か食べようと思ってさ・・・」
父もやってきました。
「おお、懐かしいな、子供の頃よく食べたよ。」

「元に戻すまでは、もう逃げられない。」
そう観念し、発掘物は紙袋に入れてリュックにしまうことにしました。
昔から諦めは早いほうでしたから。
しかし、やはり何かと心細いので居間のある1階にいることにしました。
そのうちまた睡魔が襲ってきました。

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「くーびなしっ!」
「くーびなしっ!」
「くーびなしっ!」
首の短いあの子に向かってクラスのみんながはやし立てていました。
私もつい調子に乗って
「くーびな・・・」
その子が私のほうへ振り向きました。

四白眼でした。

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もう東京に一人で戻る気力は残っていませんでした。
両親には、その年度の後期と次年度の前期を休学扱いにしたいと懇願しました。
単位をとるためには東京でテストを受けなければならないからです。
どんな嘘をついたかもう覚えてはいませんが、
何とか両親を説得することは出来ました。

時が経つにつれ、その子は目覚めているときの私の視界にも姿を現し始めました。
いつもというわけではありません。
時折、視界の一番片隅にいてあの目で私を見つめているのです。
でも、そこに目を向けるともういません。
それでいて、いつの間にかまた視界に入ってくるという具合です。

続く