[夕美さん]
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この後いろいろな話をした。 
会って二回目とは思えないほど私と夕美さんは馬が合うというか、気が通じた。 
考え方が相似していた。 
それは夕美さんも感じているようだった。 
それからも私は度々夕美さんの元を訪れた。 
夕美さんから誘ってくれたり、私から言い出したり。 
私の家にも何度か来た。 
私と私の彼氏と夕美さんの3人でしゃぶしゃぶパーティをしたりもした。 
時には軽い喧嘩もあったけど、数分後には仲直りしているという仲良しっぷり。 
もちろん会話も沢山交わした。 
夕美さんの亡くなった彼氏はとても背が高かった事、私の彼氏の間抜けな話、水族館で食べたい魚、などくだらない話もどんな話もとにかく沢山した。 
ある日夕美さんの家に居るとき夕美さんが少しコンビニに言って来るね、と言った。 
夕美さんが居ない時私は半年前のあの夕美さんが1人で写っている写真を発見した。 
その写真を見て私は固まってしまった。 
肌色のぼんやりした人型の影が夕美さんの肩を抱いている。 
私は夕美さんの彼氏の霊が、写真に出てきてしまったのだと考えた。なぜなら、その影はとても背が高かったからだ。 
数週間後 
夕美さんの家に行き、また私一人が家に残る場面があって、もう一度あの写真を見た。 
肌色の影が濃くなっている。 
結局夕美さんに私たちの最寄の駅まで送ってもらってしまった。 
その夜 
「夕美さんって親切だったね〜。すごく美人だった。」 
「そうだな〜〜はは」 
「何鼻の下伸ばしてんのよ!!」 
「イヤ、お前の方が可愛いよぉ」 
そういって彼は私にキスした。 
その次の日 
夕美さんはあの山に行こうと言った。 
私は嫌だった。 
でも夕美さんの彼氏の霊が彷徨っているから、なんて言えなかったので渋々ついていくことにした。 
山頂に着いた 
「私の死んだ彼氏はね、とても背が高かったの。」 
・・・前にも聞いたよ? 
「それで髪が茶色かったの」 
「それでとても明るかったの」 
「それでとても、間の抜けた性格だったの」 
夕美さんは私の背中をそっと崖の方に押した。 
「それであんたに邪魔されたの」