[迫り来る黒い点]

前頁

もう、はっきりと見える。黒い『何か』------------それは、無数に絡み合った、人間の腕。目算だけで20は越える
人の腕。それが複雑に絡み合い、蠢き合い。
彼女は私に話してくれた時、こう表現した。『まるで、人間の腕で出来たイソギンチャクのようだった。』
ふらふら揺れていたのはこの腕が蠢いていたからだ。それも大よそ-----生きているとは思えない人間の腕の色で。
腕の一本一本が意志を持つようにぬるりと蠢いて、それ以外は何もないのにその巨大な腕の固まりは
尚も空を頼りなく漂いながら彼女達の側に近付こうとしているのだ。
「ぅわぁあああああああああッ!!」
はっきりと正体を確認した所で彼女達の足は漸く動き、後ろを振り返る事無く一目散、両親の待つ車へと急いだ。
はっきりした事を告げずただただ『早く車を出してくれ!』と泣いて頼む子供たちに驚いた両親は、
訳を聞く前に猛スピードでその海岸を後にしたと言う。
恐る恐る振り向いた窓の外、夕日が沈んで青黒い、けれど当たり前のような風景の中に「ソレ」がいなかった事に
彼女達はやっと安堵したそうだ。


結局それの正体は解らずじまい、そして二度と見る事もなかったので過去の話、と彼女は笑っていったのだ。

「まぁ・・・・・その腕イソギンチャク? 見てからもっと凄いモンも見るようになったしね。あんなの

×「まぁ・・・・・その腕イソギンチャク? 見てからもっと凄いモンも見るようになったしね。あんなの
○「まぁ・・・・・その腕イソギンチャク? 見てからもっと凄いモンも見るようになったしね。あんなの まだ、序の口よ。」

最後の最後でミスってしまった・・・・・・orz 俺個人的にこのイソギンチャクが
悪魔のなんだっけ、バックベアード?の目玉なしで触覚?が全部人間の腕っつーイメージ
で強烈に残っているんだ・・・・・・。


次の話

Part141menu
top