[木箱の中身]
前頁

俺も気持ち悪かったけどsさんのハンカチでガラスケースのほこりを
取り除いた。するとなんとケースの端に4つの赤ん坊の頭のミイラがあり
そしてケースの真ん中には手のようなものがあった。
その手のようなものはあきらかに人間のものではなく鬼の手みたいな
感じだった。鬼かどうかはわからないけど生きているとしたらそうとう
でかい生き物だしそもそもこんな手はどんな動物も持っていないし。
しかも指がちゃんとあって5本あったと思う。
ミイラになっていたけどなんというかさっき死んだのではなかろうか
というほどみずみずしい感じがした。

sさんと俺はしばらくそれを見つめていたが
「帰ろうか・・・」とsさんが言い出した。
sさんはかなりびびってしまっていて俺は木箱を
もとのようにふたをして小屋を出た。
車まで戻ると俺とsさんはさっきのことは二人だけの内緒にしようと
言い出した。俺は内心「なんで?」と思った。
このことを他の友達にも話したかったからだ。
その日はそれで帰ったんだけど1週間ほどしてsさんからメールが来た。
内容はもう一度行ってみたいというものだった。
俺はその一週間その寺の資料とかをネットで調べていたんだけど
なにもそれについて手がかりになるものはなかったし気にはなってはいた。
友達にも話したかったけどもしそれがその寺の住職の耳に入れば
俺たちが呼び出されるのは目に見えたからだ。
sさんは内心住職のことを嫌がってはいたのを知っていたし(ちょっと
くちが悪く不良の住職みたいな感じだったから)面倒なことには
ならないようにとの配慮だった。

次の話

Part141menu
top