[曖昧な記憶]
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すると、今度もすかさずもう一度ベルが鳴り、
【ドコニアルノ】
「どこにいる、の次はどこにある、か…」
M先輩はわけが分からない様子で、呆れて鼻で笑っていました。
ところが、ポケットにしまいかけた時、また鳴ったベルを見たM先輩は一気に青ざめたのです。
「…次はなんすか?」
「…どうしたんです?」
興味津々に聞く私たちに、M先輩は何も言わずにベルを見せてくれました。
【ワタシノアタマガナイノ】
と、ありました。
皆に見せた後、M先輩はいきなり怒り出しました。
「ちょ、お前ら。オレが霊感強くてこういう冗談いっちばん嫌いなん知ってるやろ!」
驚く私たち5人。
「誰やねん!こんなふざけたん入れたヤツ。ちょーもうええし、ホンマやめろや」
まで言った時、またベルが鳴りました。
M先輩の真剣さと、もしかして霊的なことなのかという驚きで5人も押し黙ってM先輩が確認する様子を見守ります。
確認したM先輩は「ハッ」とひきつった笑いをすると、M先輩はまた見せてくれました。
【アソボウヨ】
見せながら「誰や」とM先輩は問い質します。
「お前ら、ピッチ(PHSのこと)持ってるやろ。それでこれを入れてるん分かってんねん」
そう言うと「とりあえず全員ピッチここ出せ。発信履歴見るわ」と言い出しました。
PHSからメッセージを送るには、メッセージセンターに電話を掛けなければいけないので、
発信履歴を見ると確認できるのです。
「オレちゃいますよ…」と皆口々に言いながら、砂利の上にPHSを出していきます。
全員が出し終わって、2〜3人目のPHSをM先輩が確認し、
「お前もちゃうな」
と言った時です。
またベルが鳴ったのです。
全員のPHSがその場に出されているわけですから、その時点で全員の無実が証明されましたが、
同時に何やら気味の悪いメッセージがこの6人以外から入ってきていることも証明されました。
「え…」と言ってゆっくりM先輩はベルに再び目をやります。
真顔で差し出してくれました。
【アタマサガシテ】
口々に皆気持ち悪がり、
「誰のいたずらか知りませんけど、なんや怖いっすねー」
「うーわ、めっちゃ怖い!」
「霊や、霊や」
「ほんま誰やね〜ん」
と少し興奮しつつ、6人が出した答えは「他の場所に移動する」でした。
川の近くで、あまり人気が無かったからという怖さも大きかったからです。
ゴミを集め、6人は降りてきた石段に向かって歩き始めました。
ピリピリピリピリ、ピリ。ピリピリピリピリ、ピリ。
またM先輩のベルが鳴りました。
全員M先輩のベルに群がってメッセージを見ます。
【ドコニイクノ】
それを見た瞬間、全員「うわぁぁぁぁ」とか「おいおいおいおいおい」とか、
「これまじでやばいってー!」など悲鳴を上げて走り出しました。
石段を駆け登って、停めてあった原チャにまたがり、
一番に走り出した人の方向に従って一斉に原チャで逃げ出す6人。
結局、最寄の私鉄駅前まで行って先頭が止まりました。
駅前は、自動販売機や、公衆電話の人工の光があり、皆ちょっとずつ平静を取り戻してきました。
「さっきのんはやばかったなー」
「オレこんなん初めてやわー」
「ちょっとー今日寝れへんかもしれんやーん」
と、まだ多少遊び半分だったのかもしれません。楽しいハプニングが起きた、と。
駅前の街路樹の枠に腰掛けたM先輩がしばらくして皆に言いました。
「アレはホンマにやばかったと思う。実は最初からちょっとイヤな気はしてた」
「まじですか?」などと皆がリアクションしてる時に、
またイヤな音が鳴りました。
M先輩は「勘弁してくれー…」と言いながらも、見ます。
そして一言、「大丈夫そう…」と言って見せてくれました。
【ドコニイッタノ】
皆「見失ったんちゃう?」と言い出し、一人が「今のうちにバラけて家帰ろうや」と言い出しました。
一人で帰るのが怖いという声もありましたが、程なくその案に皆同意、
各自原チャにまたがって「ほなまた明日なー」などと言って用意している時。
再びベルが鳴ったのを聞いて、6人はピタっと動きを