[捨てないで]
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すぐさまNからメールが来た
『Aに話をつけても仕方がない 今はこの人形をどうするかや・・・』

俺『とりあえず 今日は学校へ行こう。帰ってきたら PM:6時に○○公園に その人形を持ってきてくれ』
N『わかった』

その日も相変わらずだ。Aは不登校のまま。オマケに、Nの噂がかなり立つようになった。
『知ってる?Aちゃんって○○中のNって奴と付き合ってたやん?その子にフラれて すごく恨んでるんやってさ』
『Aちゃん かわいそうやな』
こちらの学校では なぜかAに同情的な意見が多いらしい。
俺は真実を話してやろうと思ったが、空気が空気なので口を噤んだ。

その日、指定していた○○公園で俺が待っていると 少し遅れてNがやって来た
N『すまねぇ ちょっと遅れた いやー 久しぶりやな んでこれがその・・・・』

と、見せられたのは いかにも って感じのお菊人形。
こんなのが送りつけられてくるだけでも 鳥肌ものだが
おまけに自殺の名所に落ちていたお菊人形・・・・・・

俺『そ・・そうか、んで お母さん大丈夫なんか?』
N『母さんは 何とか一命を取り留めたよ。本当に 良かったわ・・』
俺『おお・・・安心したわ』
N『これ・・・どうすればいいと思う?』
俺『Aに返す』
N『・・・・!?』
俺『Aが持ってきたんだ Aに渡すしかない 俺たちはお祓いなんてしてもらえるほど 金は持ってない。
  しかも お祓いをしてもらえる場所を探して そこに行かなければならんし
  お前の親なら 連れて行ってくれるかもしれんけど 俺の親は 厄介ごとはごめんやっていうやろう。』
N『で・・・・でもAが出てくるかどうか・・・』
俺『大丈夫 少し 提案がある』
N『ん?』


そして、その日はNは母親の見舞いに行くらしいので 俺も同行した。
そして次の日。その日は土曜日だったので、Nと一緒にAの家に行くことにした。
Aの家は俺は初めて見るが、凄く立派な家だ。
○○(自殺の名所)は、ここから数kmしかはなれていないので、がんばれば行ける距離だが
不登校になっているコイツが わざわざ出向いて人形を持ってくるか? それが俺の引っかかりだった
そして、俺の提案とは Nがひたすら謝って Aを呼び出して さりげなく人形を返すことだ。

ピーンポーン
インターホーンを鳴らして 出てきたのは 何と意外にもA本人だった。

A『・・・Nくん どうしたの?』
N『実はさ・・・俺 謝りたいことがあるんだ』
A『今更 何も謝ってくれなくてもいいよ』
N『いやそうじゃなくて・・・』


といった会話が数分続いた。
N『だから、これは お前が 処分してほしいねん 俺にはどうすることもできへんし』
A『無理』
N『・・・?』
A『5年前自殺した私のお父さんが 首をつっていた所に 落ちていた人形さんだって
 5年前お母さんが持って帰ってきたから』

意味のわからない答えだった

続く