[乱暴なバス運転手]
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s子は用心しつつ君の悪い運転手に近づき懐から取り出した定期を見せました。
すると運転手は指で有効期限の部分を強くこすりはじめ
「見ろ、これは期限が切れているじゃないか、バスターミナルの事務所に連絡しておくから
そこでこの件に関して事務所で詳しく調べるからそこで降りなさい!逃げるんじゃないぞ!!」
などとわけのわからない疑いをかけられてしまったs子はもうはんべそをかきながら席にもどると、
バス亭に車で毎日迎えにくる母親に携帯電話で定期の件でバスターミナルの事務所に
行かなければならない件を泣きながら話すと、バス停に着くまで泣いていました。
そのあいだも運転手がバックミラーで頻繁にs子を鬼のような形相で覗くのでした

そしてバスがターミナルにつくと、S子は運転手になかば強引に腕をつかまれてひきづられるように事務所に
連れて行かれました。一足早く車でかけつけた母親はs子を見つけるとあわてて近寄ってきます。
ついにS子はぼろぼろに泣きくずれてしまいした。
運転手と母親に腕をかかえられ事務所の中に入ったS子……
鬼のような形相をした運転手が扉を閉めるとなにやら無線で警察の出動を要請しています。
しかし無線を切った運転手の鬼のような形相はやわらぎ、非常にやさしさのある顔に変わっていき一言…
「お嬢さん、大丈夫かい?………実は…」

運転手の話によると、バス停にさしかかろうとした運転手が待合場にいるS子達を見つけると
なんとS子の後ろにはナイフのようなものをふりかざし今にでも切り付けようとしている男性を
運転手は目撃してしまったのでした。ヤバイと思った運転手はアクセルを煽り急加速するとともに
なんどもホーンを鳴らしたのでした。S子の後ろの座席にすわった男を確認した運転手は
バスに乗った後もバックミラーでs子のうしろにのりナイフを振りかざしてきりつけようとしている男性を
いかくするかのごとくs子を見守っていたのでした。
事情を聞いたS子はぶるぶると震えるとともにバスの中に荷物を置いてきてしまった事に気づきました。
ナイフでS子を殺そうとしていた男性はもう姿を消した後だったが
用心のために母親と運転手と三人でバスに戻ったところ、
男性の座っていた席の前のいす、つまりS子が座っていた席になにやら
ナイフで気づけたように文字がきざみこまれていました。

 「 今 度 は 殺 す 」 


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