[蹴ったもの]

信じるか信じないかは別として知り合いに変わったやつがいる
小学校時代からの友人で、現役の住職をやってるやつがいる
私自身は霊感なんてこれっぽちも持ち合わせていないのだが
こいつのせいで 何回かありえない現象にあっている

学生時代 住職とよくつるんで遊んでいたのですが、
そろそろ就職活動をはじめるかくらいの時期の出来事
学食で一緒にご飯を食べて、午後のひと時を、まったりと
すごしていたときに、青白い顔した女をつれた友人Aがうちらの
所にやってきた

友人Aいわくちょっと住職にこの女の子Bの話をきいてほしい
そういうことだった。無論私もその場にいたので、一緒に話を
聞くことになった
ぱっとみわりとかわいいこの女の子Bが話を始める前に、ふいに
住職が女の子Bをジーと見て「だいたいわかったからその家から
引越ししたほうがいいよ」と にこやかにいった

そのことを聞いた女の子Bはいきなりすすり泣きはじめて、
「やっぱり・・そうなんや・・やっぱりそうなんや・・・」
隣で聞いてた私は、さっぱり話が見えない上に理解できない

私「また いんちきくさい話かよ・・」
住職「なんでお前は信じないの? 世の中には科学や理屈で解明できてない
ことたくさんあるのに・・いきなりいんちきと決め付けるのはどうよ?」
私「物理法則を無視した現象がおこりうるはずがないだろうが、そんな事象はありえない」
と議論はじめたら友人Aが「まぁまぁ」とわって入ってきた

そこで女の子Bに、何があってどうなっているかを詳しく話せと問いただした
女の子Bはぼそりぼそりと、ここにきた理由を話し始めた

大学にはいってから住んでいた アパートに最近妙なことが起こっている
夜中に寝ていると、どうも人の気配がする そう気がつくと、金縛りにあい
回りの空気が重く冷たくなり、耳元で女の人の少し苦しそうな息づかい
が聞こえると・・・・
昨日の夜、とうとうその苦しそうな息をする女が、顔を覗き込むように
頭上に正座しているのに気がついた 覗きこむ顔は、焦点があわないような
目をしていて顔にはひどく裂けたような傷が下から上まで広がっていて
口は閉じているのに、裂けたほっぺたから 苦しそうな呼吸音がしていた
というものだった
私「ははっ 第一見る前から女の人というのがわかるって時点で
夢じゃないの?それに金縛りも精神的なものですよ。今、いろいろと難しい
時期だから、そういうのもかさなって疲れてるんじゃないのかな。それに
簡単に引っ越せるものでもないでしょ?そう思うからそういう風に感じるんだと
思うよ」というと住職のやつが「うーーん・・・」

住職「たしかに簡単に引っ越すのは難しいな 面倒だけど私が行ってお清めしますよ」
私「だから・・なんでお前はそうなんだ?」
住職「はは ならお前も一緒に来て本当か 嘘かたしかめればいい それが一番だろ?」
その女の子Bは 私は部屋に帰るのが嫌なので鍵を預けるから・・・と主張したが

私はそれは解決にならんから だめだと説得して 私 住職 友人A 女の子Bで
そのくだんの件の部屋で一晩すごすことになった

その部屋は別段かわった所もなく、6畳一間に2畳ほどの台所とガラリ2枚扉の押入れ、
ベランダにエアコンその他もろもろとまぁそのへんによくある構造の部屋でした。
色々な可能性(異常者やストーカー(当時はこんな言葉はなかったですが))を考慮して
住職と私は、押入れ、友人Aと女の子Bは6畳のところで寝るときめ、夜になるのをまちました

女の子Bは最初、異常に怯えていましたが、住職がいるのと、他にも人がいるので、まぁ
安心したような感じでした。
大体0:00くらいになったときに、取り決めどおり、私と住職は押入れに、Aは床にざこね、
女の子Bは布団という感じで寝ました

どれくらい時間がたったか、少しうとうとしてた私を住職が、こずいて小さな声で
「おい 起きろ 来てる・・こりゃ・・俺じゃ無理かも・・」と

続く