[蹴ったもの]
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押入れの隙間から部屋を覗くと、なんとなくですが、空気が重く、冷たい感じがしてました
Aと女の子Bが「んんんん・・・・・んん・・」と寝言なのかうなされているのか、
なんともいえない声を発していました。
そのまま少し覗いていると、薄暗い部屋の中に確かに、Aと女の子B以外の何かがいる
Aと女の子Bの間くらいに、正座をして うつむいている感じの丸い奴がいました。

なぜかわかりませんが、とっさに3人目の誰かがいると判断した私は、押入れのふすまを
蹴りあけました。蹴りあけたフスマの上に飛び乗り、フスマの上に突き出たナニカの
頭?を、蹴り上げました。なにかに当たる確かな感触して「み”ゅ・・・」と鈍い声と
いうか音がし、もう一発床の上の黒いものをカカトで踏みつけました ゴリッと嫌な
手ごたえを感じ、3秒ほどの時間をおいてから電気つけました

電気をつけると、鼻血をだしたAがなんともいえないうなり声をあげて、のたうちまわって
ました。すぐに蹴り倒したフスマをめくり、下を確認しました
一瞬黒いものがいた様な気がしたのですが、痕跡すらなにもありませんでした

・・・・一瞬の静寂のあと 住職が馬鹿笑いをはじめました
住職「お前が一番ありえへん 普通 蹴りにいかへんよ けど原因わかったで」
私「?いや せやけどなんもいーへんかった。。ちゅうよりA 蹴ってしもた A ごめん 大丈夫?」
A「ふが・・・いや 女がいた お前が飛び込んできたら消えた」
鼻を抑えて 血を拭いてるAが怒るでもなくたんたんと答えてきた

Aと女の子Bの話を総合すると、Aと女の子Bの間に顔が裂けた女が座っていたそうです
この時点でAも女の子Bもはっきりと意識があり、私が飛び込むのを確認したそうです

ふいに住職が、ベランダの窓を開けて、ちょっと手伝えと、私に手招きしました
エアコンの室外機をちょっと持ち上げてくれというので、少し浮かせると、住職が
室外機の下に手をつっこんで、「あぁあった やっぱこれだ・・・」と、
白い薄汚れたコンパクトをひょいと取り出しました。

それを見た瞬間、私は「あ おれが蹴っ飛ばした奴だ」と確信に近い感覚を持ちましたが
黙って、住職に「なにそれ?」というと住職が、少し難しい顔をしながら、それを紙に包んで
住職「んー。。なんだろうなこれ よくわからんが、女がついてる なんでここにあるのかが
   わからん。。 最初からあったのか ほりこまれた物なのか 最初部屋が原因だと思って
   たんだけど、お前が蹴飛ばしに行ったら 空気が窓の外に集中したから わかったんだけどな」
私 「・・・・・・お前がしこんだんちゃうん?」
住職「むちゃいうな あぶないもん持ちたくないわ ほらこれ・・・」
そういって、薄汚れたコンパクトつつんだ紙を俺につきつけました

よーくみると、ところどころ欠けたり 亀裂が入ったり 髪の毛がついてたり 
どう見ても血が乾いたようなシミがついてました

その後、住職がコンパクトを持ち帰り、部屋には何も出なくなったそうですが、
一つきになるのが、最初に蹴っ飛ばしたやつが何がいまだにわからない 
フスマを破らずすり抜けられるモノがなんなのか今だに説明がつきません


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