[辰眼童(シマナオ)さま]
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俺も何も言えなくなった。そして、すぐにゴミ箱に捨てた首飾りを探した。
でも、何故か無かった。

朝になっても俺は鬱状態だった。
縁側の近くで崩れた状態で座ってるおれの前に、祖父さんが寄ってきて語り始めた。
「70年くらい昔にな、とある兄妹がおった。」
なんの話だ?と思ったが、俺はとりあえず耳を傾けた。
「その兄妹の仲はとてもよかったがな。愛は歪んでおった。
ある日、妹の腹に、兄との子ができたことがわかったのじゃ。
島の宗教上、血の繋がった者が交わるのは過剰に禁じられていた。
禁を犯した者は処刑されるという厳しい掟があったのじゃ。
そして、その兄妹も処刑されることが決まったんじゃ。
しかし兄妹はそれを拒み、かけおちをしてしまった。
島民どもは島から兄妹を出さずにと、船を出すのを禁じ、
血眼になって兄妹を探した。
そして、山奥の古小屋でその兄妹を見つけたんじゃ。
妹は、赤子を抱いておった。産んでしまったのじゃ。
それを見つけた島の男がその赤子を妹から横取り、殺そうとした。
しかし、その男は悲鳴をあげその赤子を放り投げてしまったんじゃ。

その赤子は、目が一つしか無かった。
兎角、兄妹と赤子を島の奉行所に連れて行ったのじゃ。
兄妹はすぐに首をはねられたが、一つ目の赤子を殺すと祟られるのではないかと皆は思い、
処刑を延ばした。
しかし、生かしておけば尚更禍がおきるであろうと、その赤子をも殺したのじゃ。
その赤子には、魂をも滅しようと岩石で頭を潰し、体を切り刻み、海に捨てるという、酷な処刑法を施した。
赤子を処刑し、数日が経ったであろうか、兄妹を処刑した3人の奉行人が死んだんじゃ。
そして、赤子を処刑した奉行人、兄妹捜索に協力した30人の島民が相次いで死んだ。
島民等は、一つ目の赤子がこやつ等を葬ったのと考えたのじゃ。
そして、それから年に一人、幾処の産まれて間もない赤子が死んだ。
島民等は一つ目の赤子の呪いじゃと思い、島中に赤子を祀るほこらが作られたんじゃ・・。

今でもその赤子は時たま島民の前に現れ、母がくれたのじゃろう、首飾りを渡しているそうじゃ。
なぜ首飾りを渡すのはわからん・・。」

祖父さんはそれを言い終わると立ち上がり、自分の部屋へと戻っていった。
俺はそれを聞くと、とても悲しい気分になった。

それから8年、まだ祖父母は健在だ。1年にいっぺん祖父母のとこに行っている。


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