[辰眼童(シマナオ)さま]
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家にいてもやることもないので、外に出てみた。
家のすぐ裏には丘があり、何気なく登ってみる。
丘の頂からみた景色は結構良く、ずっとここにいても飽きが来なかった。
眠たくなったので、横になり、すぐに眠ってしまった。

そして眼が覚める。もう日が暮れていた。
彼奴等も心配してるだろうと思い、体を起こし、家に帰ることにした。
「キェィィィィ」
突然、俺の右側から、猿のような、女のような、子供のような、変な呻き声が聞こえてきた。
俺はビクッとしたが、地元の子供が騒いでるのだろうときにはしなかった。

丘を降りようとしたとき、後ろから声がした。
子供の声だった。なんていったかはわからんかった。
後ろを振り返ると、2〜3歳くらいの子供が立ってた。
暗くてよく顔はわからなかったけど、褐色の半纏のようなものを羽織ってた。
「ハッゼテ!ハッゼテ!」と、意味がわからない言葉を発してた。
声にも違和感があり、鼻声(?)みたいな感じで掠れてた。
その子供は俺に手を差し出した。
何かをくれるような仕草だったので、俺も何も考えず手をだした。
子供は俺の手に"何か"を落とし、スー・・と消えてった。
俺はポカーン(゚Д゚)としてたが、ふと我に返り、家に帰った。
玄関は明るかったので、さっき子供が俺に手渡した物を確認した。
・・・・首飾りだった。
薄汚れた紐に、リング状のすべすべしたものがぶら下ってた。
汚かったのでとりあえずゴミ箱に捨てた。
祖父さんや父さんに先のことを言おうとしたが、やめといた。
そして夜も更け、寝床につく。
昼に寝てしまったせいか、寝れない。
自分はそんなの関係なしにぐっすり眠ってしまう体質なんだが、眠れなかった。

「ナシテ・・」
寝室の窓のほうから声が聞こえた。あのときの、子供の声だ。
俺はハッとなった。
「ナシテ・・・ナシテ・・ステオッタ」
確かにあの掠れた"鼻声"だった。
俺は怖くなって、ふとんをかぶった。
すると、子供の声がだんだんと近づいてくるのに気づいた。
あ・・・やばい。と思った瞬間、俺の足を誰かが踏んだ。
俺は「わぁぁっ!」と叫び起き上がった。

月の光でそいつの顔が照らされてた。
またしてもデジャヴ。
それは、ほこらに飾られてた、「辰眼童」の顔だった。
兎口に、鼻がなく、大きな一つの眼が顔にあった。
髪の毛は頭のてっぺんにちょんと乗った感じ。
俺はもうここで死んじゃうんじゃないかというくらいな動揺具合だった。
そいつは、俺の手をギッとつかむと、またもすっと消えてしまった。

そしてすぐに隣で寝てた親と祖父母が駆けつけてきた。
「どしおった?」
祖父さんが聞いてきたので、俺は一言だけこういった。
「今、辰眼童に会ったよ」
祖父さんと祖母さんはそれを聞くとかなり驚いてた。
「まっことか!?辰眼童様に会ったのけ!?祟られたのか!?」
祖父さんがすごい形相で俺に尋ねてる横で両親は困った、というかあきれた顔をしてた。
俺も何も言えなくなった。そして、すぐにゴミ箱に捨てた首飾りを探した。
でも、何故か無かった。

続く