[地下の世界]
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僕が「何個くれんの?」と聞くと、
K子は「んーと、あたしが4個で、●●君とプチが2個ずつな。」と言ったので、
僕が不満気に「プチに2個?」と聞くと、
K子は「プチもお腹すかしてるんやから2個ずつ!私は4個!」と
強い口調で言ったので、
僕はしかたなく「へーい」と答えました。
そしてK子は「配給のお時間でーす」と言って、クッキー2個を
まずプチの目の前に置きました。
するとプチは一口でモリモリムシャムシャと食べてしまいました。
次は僕の手の平にクッキー2つが置かれました。
そしてK子は「K子お嬢様は4つ」と言って、自分の手の平に
クッキーを4つ乗せました。と、その瞬間プチが寄ってきて、
K子の手のひらを舐め取るようにしてクッキーを奪い取ると、
木の裏に逃げていきました。
K子はキレそうな表情で半泣きになると
「あたしのクッキー、あたしのクッキー取られたぁ」とわめきました。
僕はK子にもらったクッキーをすぐに口に入れて、
「えー?(モグモグ)何ー?どうか(モチャモチャ)したー?」
と言うと、
K子は「もう!あほぅ!飼い主がわるいんやろ!どうしてくれんのよ!」とキレまくりでした。
僕は「まあまあ…プチもお腹すかしてるんやから」とK子がさっき言ってた言葉を
そのまま言い返しました。
木の裏ではプチが大雨の中でも聞こえるように、
ガフガフとわざとらしい音を立ててクッキーを食ってました。
K子は「ムカつくわー腹立つわー」とボソボソつぶやいてました。
するとクッキーを食べ終えたと思われるプチが急にワンワン吠え始めました。
いったい何事かと思って、僕とK子は木の裏に回りました。
するとプチのすぐ目の前になにやら小さな小さな竜巻の様なものがうず巻いてました。
ビール瓶を逆さにしたような大きさでした。
土のカスや枯葉の切れ端がクルクル回っています
僕は「なんやろこれ?」と言ってその竜巻に手を突っ込んでみました。
続いてK子も手を突っ込みました。さらにプチは竜巻に向かって体当たりをしましたが無論素通りしました。
二人して「なんやろなーなんやろねえ」などとほざいてたら、
なんだか視界がザラザラになってきたように思い、
目の前の風景や自分の手さえもがなんだかよくわからない
ぐちゃぐちゃな状態に見えて、何が何だかわからなくなってきました。
僕は必死になってぐちゃぐちゃに見えるK子らしきものの手を握り、
プチのヒモらしきものを掴み「離れんなよ!」と叫びました。
K子も僕と同じように視界がおかしくなったようで、「目が変や」と言いながら
目をこすってるようでした。プチもワンワン言いながら暴れていました。
どうしたらいいかわからなかったのですが、木の裏にいてると
向かい風のせいで雨にかかるので、
とりあえず元の場所にK子とプチを引っ張りました。
ここだと木が盾代わりになるので、雨も風もある程度防いでくれるのです。
K子は不安と恐怖のせいかフーフーハーハーと荒い息をしながら、
うずくまって目をゴシゴシしているようでした。
僕は何か助かる方法はないかと、周囲を見渡しました。
目の前に広がるのは緑色のグチャグチャな景色でした。
しかし遠くの方の木らしき物に、なにやら長方形のドアが付いているのが
はっきり見えました。
僕が「おい!あれ見い!」と叫ぶと、
K子は「あれ?あれ・・・ドアがあるー!」と言いました。
僕はすかさず「行ってみよ!!」と言って、K子の手と
プチのヒモをしっかり握りなおすと、
ゆっくり歩き出しました。風が強すぎるのとキツイ雨、
さらに視界がぐちゃぐちゃなため転んで怪我しそうだったので、
ものすごくゆっくり歩きました。
ドアの所に辿り着いた時には、もう当然びしょ濡れです。
はっきり見えるそのドアはどこにでもありそう木目調のドアで
金属製のノブが付いていました
僕はドキドキしながらゆっくりとドアを開けました。
ドアを開けるとその中には白い地面と夜の景色、
そしてどこかの林の中のようで木がいっぱい生えているのが見えました
どうやらドアの向こうはグチャグチャにはなってないようです。
K子はびっくりしたように「うわー」と言いました。
僕は「行こ!」っと言って、まず一番にドアをくぐりました。
続いてプチ、K子と入ってきました。
K子もプチもドアをくぐった瞬間ハッキリした姿で見えました。
もちろん僕の手足もハッキリ見えました
ドアの方を振り返ると今までぐちゃぐちゃに見えていたはずの景色も
元に戻っていました。