[地下の世界]
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その間「宿題はもう済んだのか?」「昨日の夜ご飯は・・・」「雨降るかなあ・・・」
「この前のひょうきん族が・・・」「台風のおかげで虫にさされにくいなあ・・・」
「どこまで行くの?」「上のほうのいつも風が強いとこ・・・」
「ああ、そういえば・・・」などのくだらない話をしていました。
やがて目的地の空き地にたどり着きました。
予想通りというかなんというか、道中も台風のせいで風が強かったのですが、
空き地の方は普段の何倍も強い風が吹いていました。
プチは風の強さに興奮して走り回りたいようなので、ヒモを放してやるとワンワン吠えながら
おおはしゃぎしていました。
当然僕もK子もキーキーキャーキャー喚きながら、風圧で顔をくしゃくしゃにして
腕を広げて追い風でジャンプしたり、グルグル回ったりして遊んでいました。
そのままキャッキャと遊んでいると、いきなりドガッシャーンっと
物凄い音の雷が鳴りました。
一瞬で一同石化って感じです。それは文字通り一瞬のことで、プチはすぐに空に向かって
わんわん吠え出し、K子は泣きそうな声で「こわいーこわいー」と言いながら
僕にしがみついて来ました。
普段であれば雷など平気なK子ですが、山の中で波打つ草木に囲まれての雷には
かなり恐怖を感じたようです。
僕は「大・・丈夫、大丈夫やんけホラ〜」と言うと、
K子は「エヒヒヒ…」と照れ笑いをして手を離しました。
安心したのもつかの間、今度はポツ…ポツポツポツドバーと大雨が降ってきました。
僕が「雨や、あそこ行こ!あの木の下!」と言って近くの大木に向かって走ると、
K子は頭を押さえて芝居がかった口調で「ヒィーーー」と言いながら、
僕の後ろからついてきました。
さらにその後ろからはプチもハァハァ言いながら付いてきて、
2人と一匹で木の下で雨宿りです。
K子は「すごい雨やなー」と言いながらハンカチで顔を拭いていました。
僕はハンカチを持ってなかったので腕でぬぐいました。
僕が「もう少ししたら弱くなるかもしれんから、それまでここで雨宿りしとこっか?」
と言うと
K子は不機嫌そうに「うーん・・・」と返事をしたあと、
「はーあ」とため息をつきました。
それで二人して空き地のほうを見つめていました。
空き地は幼稚園の運動場程度の広さで、背の低い雑草がそこかしこにはえています。
特に遊べるような作りにはなってないので普段からここに来る人はあまりいません。
…ふとK子の方を見やると、ほんのり膨らんだ胸の辺りに2つの突起物が目に入りました。
雨に濡れたせいで透けて見える2つのBT区……僕の目はそれに釘付けです。
しだいに幼い僕の頭の中は良からぬ妄想でいっぱいになりました。
すると一転を見つめる僕の視線に気づいたK子は、
「どうしたん?」と聞いてきました。
びっくりした僕は「え?っと・・・腹減ったなあって思って・・・へへへ・・・」と言うと、
K子は手さげかばんを両手でつかんで
「あれ?なんでわかったん?見たん?」と言ったので、
僕は「え?う・・それって?…‥」と、冷静さを失った僕をよそに
K子は「じゃーん!!クッキーの缶ーー」と言って、
かばんの中から大きなクッキーの缶を取り出しました。
一瞬で安心した僕は「おおでかした!腹減った!くれ!」と言うと、
K子はニヤニヤしながら「きのうの夜みんなで食べたからー残り8個ー」と言って
ふたをあけると、本当に8個しか入ってませんでした。
1つが500円玉くらいの大きさでした。