[山登り]
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岩場は大きく二つの部分に分かれていまして、一つはスポーツクライミングの
対象となることが多い方、もう一つが昔からやられている「岩登り」の
舞台となる岩で、高さは20メートルちょいくらいのやや小柄な岩です。
着いてみると案の定、誰も来ていませんでしたので、二人で
「さすがに今日は来ないか。待ち無しでいけるな」と喜んでいました。
だいたい、ちょっと登るのが難しいルートは指を置く場所、足を置く場所が
限定されてくるため、古くからあるこの岩場では、指を置くスポットが
ツルツルに磨かれて年々難しくなっていくんじゃないかと思うのですが、
そのルートを雨の日に登ってみたらどうだろう、というのがその日の
一番の目的でした。

まずロープはつるべ式井戸のように、最初に岩の裏側からまわって頂上に
ロープをもっていき、そこを支点として端っこを下にたらし、両端を
二人の腰に結んで、登る人と、落下を抑える人に分けるというやり方を
することにしました。これの方が登る時安全なのですが、まだやり初めの頃、
「ロープの支点は置き方を変にすると、落下時の岩との摩擦などで切れてしまう
ことがある、そういう事故が昔にもあったから注意するように」と
常連さんのおじさんに教えられましたものでした。
そのルートは途中で身長くらいの長さでマイナス45度くらい反り返っている
という所が売りで、それを超えてしまうと80度くらいの傾斜で、あまり
難しくはありませんでしたが、高度感はそれなりにありますので、
とりあえず一番上まで登るようにしようと思っていました。

続く