[壁のシミ]
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私達に用意された部屋は小さめのツインの部屋、二つのベットの間には細い通り道があり、
一方のベットは壁際に、もう一方は窓に面した壁際10cm程を残して置かれていました。
窓の外は下の階の屋根がバルコニーのようになっており、ベットの向こうにテレビ
、その横には小さなドレッサーがありました。
何気なく部屋を見渡してみると、ベットがぴったりとつけられた壁のちょうど目線の先に、
500円玉大の茶色がかったシミが何ケ所か、
壁紙の下から浮き出るように付いているのに気が付きました。
冗談まじりに「なんかこのシミ、血の色みたい。血って、時間がたつとこういう色になるもんね」
などと言い合っていました。

2、3時間程たった頃でしょうか、私はベットに腰掛け、
彼氏はドレッサーの椅子に座ってお酒を飲んでいました。
何かの拍子にそのドレッサーの鏡が動いてしまい、裏にある壁を見た所・・・
そこにはベット際の壁にあるシミと同じものが、ベットリと付いていました。
そしてよく床を見ると、うっすらと茶色いシミが拭いても拭き取れなかったように
無数の点々となって染み付いているのです。
お茶などをこぼした時のシミとは明らかに違うんです。
点々と滴るように。
その瞬間、二人とも背筋が寒くなり会話も途切れてしまいました。
なるべく気にしないよう努めていたのですが、テンションも下がってしまい、
早々に床に就く事になりました。
私は窓際に置かれたベットで眠る事になり、雪の様子を見ようと窓に引かれたカーテンをめくると、
なんとそこにはあの茶色いシミが、ダラッと窓枠から垂れ下がるように付いているではありませんか。
さすがにこれは横で眠ろうとしている彼氏に言えば怖がるだろうと思い、黙ってそちら背を向け、
恐怖を押し殺すように布団をスッポリかぶっていました。
そうしているうちに私も眠ってしまったようで、次に気が付いた時にはもう朝になっていました。
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