[ごうち]
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俺よりも地鎮祭をやった神主に相談したほうがよっぽど頼りになるんじゃないか、と言ったが
「その神主、死んでしまっている」
なんだそりゃ、と思わず突っ込んだが、冷静に考えるとかなり怖い。
「でも神主、かなりの歳だったからな。それで、うちが檀家になっている寺に頼もうかと思っ
たんだけど、そこの住職、どうも胡散臭いし、俺とも折が会わなくてね。誰かお祓いできる
人知らないか?」
「“自称”霊能者ってやつは俺も知っているんだけど、そいつもかなり胡散臭くてね…」
「それでもいい、紹介してくれ」

そんなやりとりがあって、“自称”霊能者である人間を紹介することに。
(彼を仮に「オオツカ氏」とします)
そして数日後、アキバ、俺、オオツカ氏の3人で現地に。
到着して、界隈を一通り歩いたあと、オオツカ氏が言う。
「確かに何か感じます。しかし、何か違うというか、何かおかしいというか…」
やっぱり、こいつ怪しいなと思う。誰だってそのくらいのこと言えるだろ、と心で突っ込みを
入れてアキバの顔を見ると、彼も胡散臭いものを見ているような目つきをしている。
「対処できそうですか?」アキバが恐る恐る聞く。
「うーん、、」と首をひねったあと、オオツカ氏は「無理そうです」と一言。
まあね、できないのにやった振りをしちゃうよりは良心的かな、と思ったりする。

しかし、それからオオツカ氏はある人物を紹介してくれた。
その人物は近くの市に住む50代の女性で、オオツカ氏とは長い付き合いとのことだった。
ただ、その人に会う前にまた死者がでた。ある家の高校生の息子が急性アルコール中毒で死ん
だ。引越しを検討している一家も少なくないとの噂もでてきた。

さらに数日後、その女性(ウエノさんとします)を含め4人で再び現地へ。
件の区画を歩いたあと、「近くの土地も見てみましょう」と区画から外へ足を向ける。
あいにくの小雨模様だったが、傘もささずに早足で歩きだした。後を追う。
ウエノさんは隣の区画を回ったあと、今度は反対に向かった、そこにはとても小さな公園があり、
その向こうは荒地となっている。さらにその荒地に隣接して、また別の区画があった。

荒地の前まできて、ウエノさんは足を止めた。
「ここみたいだね」
「ここ、ですか?」アキバが怪訝な顔で聞く。
「そうよ。ここがおかしい。あなたも何か感じる?」
振られたオオツカ氏も「確かに感じますね」と呟く。相変わらず胡散臭い感じではあったが。
「しかし、ここが原因ならば、あそこの区画より、ここにすぐ隣接している場所のほうに影響が
でるのではないですか?」と俺が聞く。
「まあ、そうなんですが。そこは私もおかしいと思ってます。調べる必要がありそうですね」
「この土地の持ち主はわかりますか?」ウエノさんがアキバに聞く。
「調べれば分かるとは思いますが」
「至急調べて、地主を見つけてください」
「分かりました。で、不躾ですが、対処はできますでしょうか?」
「まずは、ここの因果関係が分からないと何とも言えませんね。それを知るためにも地主さん
に話が聞きたいのです」

職業柄、土地の所有者を探すのは不動産屋にとってはお手の物。その日のうちに地主を割り出し
たが、その地主、今は隣県に住んでいるという。
さっそくアポをとってみたところ、日曜日なら会えそうだとのこと。
早速日曜日に地主宅を伺った。
地主は還暦を過ぎたばかりの男性であった。(地主をカンダ氏とします)
もっとも、俺は仕事のため行けず、ウエノさんとアキバの2人で行った。
後から聞いたことはこんなことだった。

続く