[天井裏から]
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そいつの家に着いてから、軽く酒でも飲みながら 
テレビ見たり駄弁ったりして何と言うことも無くすごしていたが
夜が更けゆくにつれそいつはソワソワして明らかに怯えた様子。

夜中の1時を過ぎたころだろうか、突然天井からドタドタと言う足音が!
確かにかなり大きな音で、ちょうど子供が天井裏を走り回っているように聞こえる。
 正直かなり驚いた。
ハハハ、結構でかいねずみなんじゃねえの?と、俺が言い終わらないうちに
今度はどこからかボソボソと独り言みたいな声が聞こえてくる!
しかもよく耳を澄ましてみると、その声は部屋のまん満中あたりから聞こえてきてる!

しかもかなり聞き取り辛いが、どうやら誰かを探しているご様子。
「(ボソボソ・・・)どこいった(ボソボソ・・・)ドコイッタ・・・」と
身の毛もよだつ様な恐ろしく低い声で、ブツブツ言い続けてらっしゃる!

その声が聞こえてきたと同時に照明の紐が揺れだした。
いやいや揺れてるなんてもんじゃねぇ!
まるで指先で紐の先をハジいてるみたいに、ピッコンピッコン跳ねている!

その後もカリカリと壁を “部屋の内側から” (←これ大事なポイント)引掻く音が
ずっと続いたり(このとき独り言は止んだり聞こえたりの状態)、
ゴッゴッと壁に何か(見えないけど、たぶん頭・・・)を打ち付けるような音が響いたり。

オレは部屋の隅に突っ立ったまま固まっていた。
想像してた状況をはるかに超えてんだもの!

この部屋の中に、姿は見えないけど確かに誰かいる。姿は見えないけど。
しかも何か(誰か?)を探していて、でも見つからなくて、
かなりイライラしている様だ。姿は見えないけど。はっきりそれが解る。スガタハミエナイケド。

しばらくして音は止み、紐も動かなくなった。それでもオレは固まったまんま。
目だけキョロキョロ。部屋の中を舐めるように眺め回し続けていた。
今にもソレがまた出てくるんじゃないか、と身構えて体ガチガチ。固まったまんま。

友人が「な?マジだったろ?」とボソリと言った。異議なし。マジです、これはマジでやばいです。
その後、ファミレスに緊急避難。言ってはいけないとわかっていたけど、ついポロリと本音が出た
 「お前良く1週間もあんなトコにいたな。」
 「いや、最初はそんなに酷くなかったんだけどな、

  だんだん酷くなってきてんだよ、 イ ラ イ ラ が 。」

続く