[ある殺人者の話]
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昨日の夢は自分の都合の良い妄想のような気がした。
見た気もするし見なかった気もする。
朝食もごちそうになることになった。
「昨日不思議な夢を見たよ。」
私は夢の内容を聞かなかった。
「いろいろとありがとうございました。」
「こっちこそありがとう。」
「あの…迷惑じゃなければ来年も来ていいですか?」
「君からそう言ってもらえて嬉しいよ。私はいつでも歓迎するよ。是非来年も来てね。」
私は家を出た。
またあの夢を見たかった。
自分で都合の良いように作ってできた夢かもしれないけど、
また夢を見たかった。
来年は彼女も連れてこよう。きっとあの子も喜ぶ。
走って家に帰った。
私は走って帰った。夢を見て浮かれていたのか。
何故か早く家に帰りたかった。
家についたら留守電が1件入っていた。
留守電を聞いた。声が聞こえる。
その声が何を言っているかその時にはよくわからなかった。
病院につき彼女の両親から何が起こったのか聞いた。
車で運転していた彼女に軽自動車がぶつかってきて、
いま手術中だと言った。
数時間が過ぎ手術室から彼女が乗せられた台を引く看護士と医者が出てきた。
彼女には足が無かった。涙が出なかった。
私は病院のトイレに行き、顔を洗って鏡を見た。
「おはよう。殺人者」