[闇の音楽の血族]
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でも私は気づかないんだそれに。
私、何言ってるんだろうね。ごめんね。
私はきっとああいう曲はつくれないんだ。本当の音楽は汚れてる。
適当な曲を作って、適当な心の弱さを歌う歌がこの世を席巻していればいいんだと思う。
私に本当の音楽の世界を背負えない。
本当の音を奏でて、みんなの気持ちを左右させられない。
音楽でその人の運命を背負うなんて私にはできない。
ご先祖様が曲を完成させた後、なんで自殺したか、今の私にはわかる。
でもわかるだけ。あの高みに登る勇気は私には無いわ。
そして登っても、音楽の全てがわかって私には何もなくなるわ。存在意義がこの世に無くなるの。
私はそれを否定したい、でも私は今ここにいる。
ご先祖様の血を引き継いでここにいる。何も否定できないわ。
唯一の救いは、日本で血を受け継ぐのは私だけ。
曲は貴族たちに保管されている。決して外部に漏れることも無いわ。
私が死んでも誰も困らないわ。
また誰かが「中毒者」貴族に曲を作る。
最も作る人自信はバカ貴族のためではなく自分の望みへのためなんだけどね。きっと。
先生もモーツァルトやバッハ、今だったらスピッツだっけ?そんな表舞台のさらっとした音楽が作りたかったな。
多少の情動を譜面にぶつけて、周りの人を感動させられるような適当な曲。
ある程度の名声・お金・充足感、知らなければきっと私も幸せに生きれたんだと思う。
私の血は汚くも崇高で磨ぎ澄まれた血が流れてる。
私は生きたい、でも私が生きるためには、私の死が目の前にある」
こんなことを小さくずっと言っていた。
みんな何一つ先生の言うことを聞いてなかった。
先生自身も「今日は自習よ。」と言った。
俺は友達がインフルエンザで休んでたから先生の話をずっと聞いていた。席もピアノに一番近かったし。
次の日学級連絡網でインフルエンザでクラスが学級閉鎖になった事と先生の自殺が伝えられた。
結構人気のある先生であったが音楽専門で学級自体は担当しておらず、みんなの動揺が消えるのに時間はかからなかった。
今、なんで思い出したかは本当にわからない。
先生は何者だったのんだろう。
何故か切なくなる。
先生は本当の孤独を味わっていたのかもしれない。