[ウヅガアさん]
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カミのイッドーさんちへ行かされた兄は大変だったらしい。カミのイッドーさんはいわゆる本家だ。
未だに兄は詳しい事を教えてくれないが、毎日神様拝みをしてお神酒を枕元に挙げて従妹と同じ部屋で寝ていたらしい。
お神酒は朝起きると黄色くなっていたという。従妹といってももう四十近い人だったのだが、必ず化粧ポーチを足もとに、櫛を枕元において、「カ行」の多い祝詞みたいなものを毎朝称えていたそうだ。
帰ってきたのは十日後だった。
兄はげっそりやつれていて、決してウヅガアさんの方を見ようとしなかった。
それからも餅を挙げたあとはたまに「ぎゃあぎゃあ」が聞こえた。
その度に俺は父親の部屋へ入り浸り、兄は正月をイッドーさんちで過ごす事になった。
未だにアレが何なのかは教えてもらえない。
皆さんも、石にべったり張りつくおカッパの裸の子供を見たら、決して声を出さず他言しない事をお勧めする。
というわけで、これから俺はイッドーさんち行きです。
単位危うくしつつも現世と隔絶した生活を送ってきます。
イッドーさんちで聞いてみるけど、「ぎゃあぎゃあ」に心当たりある人、情報おくれ。
長文ごめん。ほんとごめん。
一番洒落にならないのは、出かけてた間に集中が終わっていた事だ。さようなら俺の必修…
イッドーさんちに行ったのは、先日ウヅガアさんを俺が蹴っ飛ばしたから。
酔っぱらってて、自転車から降りた瞬間よろけて蹴っちゃったんだよね。
こりゃヤバいと思って自主的に行きました。で、イッドーさんち行くなら同じだと思ってカキコ。結構反応よかったみたいで、良かったですw
以下イッドーさんちで聞いてきた事。
・カミのイッドーさんは「上(地名)の一統さん」。
・ウヅガアさんはウジガミさん。旅の山伏かなんかを殺して埋めたとか言うけど多分嘘だろうとの事。
・「ぎゃあぎゃあ」とウヅガアさんは別。ウヅガアさんは家の守り神(でも凄く良く祟る)で、「ぎゃあぎゃあ(イッドーさんたちはワロ(バロ?)といっていた)」はもっと良くないもの。何なのかは教えてもらえなかった。
・イッドーさんちのじいさんの弟も昔見たらしい(推測)。十三歳で死んでいる。
・あの変な祝詞は「カカカイオヤソ、ケカレカンガロ、ククッテカシコン、カシコンデコモ、コモ」(耳コピー)。意味不明w
・イッドーさんちにもウヅガアさんがあった。ウッガアさんと呼ばれていた。
・「ぎゃあぎゃあ」はイッドーさんちには出ない。エダ(分家)ばっかり、四、五回くらい出たが、姿を見たのは前述のじいさんの弟と俺たち、あと近所の人。
・姿を語るといけないらしい。
続く