[眼ェ返せ]
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焼きゴテを当て、
両目を潰し、
爪を剥がし、歯を抜き、
耳や鼻を削ぎ落とし、
陰茎を切り取って罪人自身に食べさせたり
それはそれは陰惨な行いだった

『カツサダ』の死後も大いに祟り、一族内で凶事が続いたため
本家では毎年一回 地鎮祭というか厄払いみたいなのをやっているらしいんだが
あの年はたまたま婆さんが入院してた為に行われなかったのだ。祖母はその事をしきりに謝り

こう続けた
祖母が嫁に来た年、爺さんが26の時。たまたま結納時期と被り、その年もお払いをやらなかったそうだが
爺さんも私と同じような夢を見たのだそうな

夢の中、祖父が河原を歩いていると両目の無い男が現れ
顔を鷲づかみにし「カツサダぁ 眼ェ返せ」と
祖父の右眼をえぐり取っていった。
そんな夢だ
その時期から爺さんは白内障を患い始め、半年の間に右目は失明してしまった。
生前祖父の白く濁った右眼を何度も見ているので周知であった。
「『両目の無い男』って言うたよねウチの夢では片方あったんやけど」
愚問だった。婆さんは当然のごとく
「そりゃ片一方は爺さんの眼だぁな、目ぇ覚めるに男が『次は左眼を返してもらう』て言うたんだと」
「○○(私の名前)には悪いことをしたがぁ、両目が揃えばもうアレも出ぇへんやろう」

私は震えが止まらなかった。
視界が真っ暗になり左眼の痛みと共に目覚める瞬間 あの男は確かに私にこう囁いたのだ

『次は耳を返してもらう』 と


きっとまた夢の中にあの男は出てくるんだろう
私の子供か、それとも孫の代か、
今度は両目が揃った、耳の無いアイツが
眼 耳 鼻 歯 命
奪われたモノを全部取り返すまであの男は夢に出てくるんだろう
カツサダの子孫を恨み続けるのだろう

子孫?
「ハハ...ザマぁ見ろ!」 私は独り毒づく

     私は ゲイなんだ。


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