[不可解な客]
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エレベーターに乗り、お客様の階へ。(三階建てのマンションの三階でした)
大体一つの階に6〜7部屋あるマンションでした。
エレベーターを降り、通路に出ると、そのうちの一つのドアが開いていました。
???
ひょっとして、ドアを開けて待っていてくれているのだろうか?
そのドアの開いている部屋が、Aさんの部屋でした。
「ごめんください、○のBですが・・・・・・・」
返事がありません。
ワンルームマンションなので、扉が開いていると、内部が、ほぼ全て見通せます。
キッチンの先に部屋があり、そこの扉の開いています。廊下にあるバストイレらしい
扉の開いています。
が、部屋の中には、誰もいません。エアコンがついており、PCかテレビか
あの、独特の青白い光が見えます。
カーテンは閉めてあり、奥の部屋は、妙に薄暗いのが印象的でした。
「Aさん・・・・・・」
管理会社のDさんも、声を掛けますが、やはり返事がありません。
ひょっとして行き違えたのかもしれません。
同僚のCにロビーまで見に行ってもらいました。が、ロビーにはいなかったとの事。
私、C、管理会社の人共に顔を見合わせます。
私「出掛けているんですかね?」
D「いや、でもロック開きましたし。」
C「極度の人見知りで、どっかに隠れているとか?」
D「隠れる所なんかないですよ?」
まあ、戻ってくるかもしれません。しばらく待つことにします。
妙な出来事といえば、妙な出来事ですが、隣に行っているとか、
緊急の用事で、近所に行っているとか、そんな理由かもしれません。
まあ、ドアが開いていたのは、妙ですが、勝手にやってくれという事かも
知れませんし。

10分ほど玄関前で待ちましたが、Aさんは戻ってくる気配がありません。
D「勝手に始めるわけには行かないんですか?」
私「はい、やはり、お客様の室内ですし、何か問題があったとき困りますから
お客様か、お客様指定の立会い者、または、お客様から、書面の形の委任状
のような物がないと、勝手に作業をするわけには・・・・」
D「まあ、常識的に考えれば、そうでしょうね。」
・・・・・・・・・・・
D「ひょっとすると、中で倒れているとか、中に手紙があるかもしれませんし、
私、ちょっと上がってみます。」
そういってDさんは、「Aさん、失礼いたします。」と、心持大きな声で言った後
部屋に上がりました。が、やはり誰もいなかったし、手紙や類する物も
ありませんでした。
なんだか気味が悪くなってきました。

続く