[バレンタインチョコ]
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とりあえず校庭にでた。
そこから校舎を見上げて、4階の右端が教室だな、あそこの窓から投げたんだから
だいたいあの辺り・・・誰かに拾われてないだろうな。
・・・そこは砂場だった。
よりによって砂場かよ、埋められたりしてなければ良いけどと思いながら近づくと、
なにかが動いている。
暗いうえに砂場は一段下がった所にあるので近づくまで気がつかなかたのだ。
「誰?」
ちょっと声が震えていたかもしれないが、勇気を振り絞って声をかけた。
返事は無い。
更に近づくと黒い影が2つ見えて、何か声が聞こえてくる。
そこで俺は動けなくなった。
「まったくもう、あんな子のどこがいいの?もっと良い子がいるでしょ」
「あんたのをもらわないなんてM君(俺の名前)もどうかしてるわ」
そう、あの女の子と母親らしき人が二人でチョコを探していたのだ。
俺はそろそろと気付かれないように後ずさりをして傍の木の影に隠れた。
「あんたも転校ばっかりでかわいそうな思いさせて・・・」
「でも良い子にしてくれるから本当手のかからない・・」
などと話す声がザッザッという掘る音と共に聞こえてくる。
30分位経っただろうか、見つからないらしい。
ついに諦めたらしく立ち上がった二人、表情は暗くてわからない。
が、確かに聞こえた。母親がこういうのを。
「ホワイトデーには必ずお礼をしないとね」
俺はもう恐怖でいっぱいになって気付かれたかも知れないがダッシュで
家に逃げ帰った。
結局あの子には謝るどころか近づくこともできず、
ホワイトデーになる前に親が急に転勤になって、引越してしまった。
今の時期になると思い出す・・・
ホワイトデーまでいたら何が起きたのか。