[恐怖郵便]
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「コンコン、コンコン!」
しかし意表をついて、
ポストではなく、ドアがノックされました。
「K○さ〜ん、郵便で〜す」
ドアの向こうからは、張りの無い無機質な男の声がしました。
「K○さ〜ん、郵便ですよ〜」
ノックと、声は続きます。
僕たちは声を潜めて様子を伺いました。

しばらく、ノックと声が続いた後、
ふっと、音が止みました。
そして、
「カッ、コッ、カッ、コッ・・・・」
足音が歩き出しました。
そしてそのまま、小さくなり消えていったのです。

ほっとして、僕らはその場にへたり込んでしまいました。
布団に潜っていたYさんも顔を出し、
安堵で泣きじゃくっていました。
「ふう・・・・」
僕は、ため息をつくと、
立ち上がりながら、なんとはなしに
目をドアの方へ向けました。

「・・・・・・!」
僕は、恥ずかしながら、腰を抜かしてしまいました。
僕のただならぬ様子に、JとYさんも
ドアの方を向きました。

ドアのポスト。
フタが上がり、ギラギラした2つの目がこちらを睨みつけていました。
『なんだ・・・・いるじゃないかよお』
先程とは打って変わって、
野太いしわがれ声が、部屋の中に向かって放たれました。

「ガンガンガン! ガンガンガン!」
激しく、ドアを殴りつける音!
「ガチャガチャ!」
ドアノブも、もげてしまいそうな勢いで、激しく上下しています。

同時に、部屋中の窓という窓が、
ガタガタと音を立てて震えだしました。

「キャーーーーーーーーーーー!」
Yさんは、悲鳴を上げると気を失ってしまいました。
僕とJは、Kさんの上に覆い被さったまま、
何もできずにいました。

続く