[憑き護]
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「憑き護」って知ってる人いるかな?
読み方はツキゴ。
担任曰く、A先生はその憑き護だったらしい。
憑き護っていうのは簡単に言うと生きた守護霊みたいなものらしい。
普通に生きてて、人を護ったりするけど、かと言って霊でもないらしい。
土地守とかに近い存在らしくて
要するに不幸を被る避雷針みたいな人なんだそうだ。
どこかの家計にそういうのが強く現れるのがあるらしく
鬼門、霊道、etc
とにかく霊的なモノで、普通の人には手がつけられないような
場所にそれとなく住ませるそうだ。
京都の方や奈良とかに憑き護は多く住まされてるとも聞いた。
担任の話に戻る。
理由は不明だが、プールでの怪異は大昔からあって
足を捕まれたりとかは本当にあるらしい。
それで溺れて大変な事件になったとかも結構頻繁にあったらしい。
困った学校側がA先生が憑き護だったのを調べて
学校に採用したそうだ。
そして問題の日、A先生はたぶん憑き護として
俺たち生徒の避雷針代わりに「プールの何か」に捕まれたみたいだ。
その後は、実際には病院に搬送されたのではなく
俺たちにお経を唱えてくれた住職のとこに行ったそうだ。
その「プールの何か」がよっぽど強かったのか、
A先生が耐え切れなかったのかはわからないが
とにかくA先生はソレに負けたらしい。
学校としては憑き護によって怪異から解放されると思ったようだが
逆に憑き護がダメになってしまったとのことだ。
はっきり覚えてないが
話を聞いた時、俺と友達、Cさんは泣いたと思う。
A先生の足についた歯型を見た後の学校で起きたいたずらは
たぶん、憑き護のA先生が護りきれなくなり
今までおとなしくしてた何かが暴れたせいだと
子供ながらに解釈していた。
今でもそう思う。
最初のうちはA先生はヒーローみたいな存在で
俺たちを護ってくれてたんだよ。とか
誰かに話そうと思ったが、
俺は今まで守ってくれてた人をおかしな人呼ばわりしたり
いたずらの犯人に仕立てあげてたのだ。
そう思うと心が痛くなった。誰かに話す気はすぐに失せた。
罪悪感が強く残った。忘れもしない。
続く