[すさまじいこっくりサン]
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あとはオカ板の人々の予想通りです。突然日が翳ったように教室が暗くなり、10円玉が熱くなるほどの速さですべりだして、
いやだ、○×(人名)しね、じごく、もうはなれない、などの言葉を綴りだし、女子の一人は急に白目を剥いて奇妙な遠吠えのような声を上げたあと
半ば消化された昼食をそっくり吐き戻して失神しました。
(それでも指は十円玉から離れませんでした。全て終わった後は全員の指に水ぶくれができていて、
何人かは筋も違えていたはずです。)
そんな中で一番恐かったのは私たちがスマイリーとあだ名するほどいつも笑っていたSが狐目を大きく見開いて
唖然とした顔をしていたことです。
もう完全にパニックで私も知る限りの神に助けを求めました。
今だから白状しますが事前にトイレに言ってなかったら多分あとでかなり惨めなことになったはずです。
しかしそのときはそれどころではなくもう全員がパニックに陥りもはや肺の空気も使い果たしてひゅうひゅうと
馬鹿みたいにかすれ声を上げているとSがかけよってきてお神酒をぐいぃっと飲み干して
「もうお供え物はないっ。お前に供えるものはないから帰れっ!」と叫びました。
10円玉ががりがりと動き、「まだにくがある。」とつづりました。するとSは全員の腕や方に噛みつき
「この肉も全部あたしの物だっ。」
と叫び返しました。それでも十円玉はいやだいやだかえらないかえらないと綴り続けるのをみてSは紙を破り捨てた後墨につばを吐きかけその墨で机の上に大きくYESと書き付けた。
そしてこっくりさんに「もう帰るんでしょ?」とたずねた。
抗おうにも机に上にはYESの一語のみ。十円玉は未練がましくふるふると震えた後動きを止め、指も離れました。
Sは真っ赤な顔で「おそろしいほどの馬鹿だなぁ君たちは。君たちの脳は実はおからなんじゃないのか?
つばというのは結構強い力を持っているんだからこんな遊びで使っちゃ駄目なんだよ。
遊び半分でこんなことをしたら今度こそとりかえしつかなくなるよ」
と言ったあと急性アルコール中毒で倒れました。
オチとしてはその後先生が駆けつけ
(気づかなかったけどかなり声や音が響いていてさっきから来ていたらしいが
なぜかドアがいままで開かなかったらしい)
酒気帯びで昏倒しているSと昼食を吐いて気絶していた女生徒からここで酒盛りをしていたと判断され、
開かなかったドアも証拠隠滅の時間稼ぎのために中から誰かが抑えていた、ということになった。
そしてみんな仲良く五日間の謹慎処分を受けました。
Sはみんなを救って二日酔いになったにもかかわらず皆からはさらに敬遠されるようになりました