×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

[忘れられない会話]

これは俺が中学生の時の体験で
恐怖感はあまり無く、今でも思い出すと不思議な気持ちになります。

中学二年の二学期に、急性盲腸炎で緊急入院しました。定期テストの前だったのでよく覚えています。
明け方に腹痛を覚えてそのまま救急車で運ばれ、即日入院で手術に備えました。
手術は翌日に決まり、痛み止めを服用してその日は病室で横になっていました。
病室は6人用の大病室でしたが、入院患者は僕と、その隣の人しかいませんでした。
夕方、仕事を終えた母が着替えや身の回りのものを持って見舞いにやって来ました。
しばらく話をしていると、60歳くらいのお婆さんが病室に入ってきました。
隣の人のお見舞いのようでした。母が「これから一週間ほどですがお世話になります」
と挨拶すると、向こうも「若いですからすぐに元気になりますよ。こちらこそよろしく」
と微笑んでくれ、とても感じの良い人でした。

お婆さんは、隣の人のベッドのカーテンの中に入り1時間ほど話してから
帰っていきました。面会時間が終了して、母も家に帰りました。
その夜、僕は翌日の手術のことを考えて少し興奮し、すぐに眠れませんでした。
すると隣のカーテンの中から話し掛けられました。
「やぁ、この病室に入院してくる人は久しぶりだ、ここ何ヶ月か1人だったから退屈だったよ。
 どうして来たんだい?」と聞かれました。声の感じから、どうやらさきほどの
お婆さんの旦那さんのようです。優しい声でした。
「盲腸です。今日の朝に急にお腹が痛くなってしまって・・・テストもあるんですけどね。」
などと、僕は学校のことや部活のことなども話しました。母が帰り心細かったので
話相手が欲しかったのもありますし、相手のお爺さんの声が優しかったのでスラスラと話せました。
お爺さんは笑いながら話を聞いてくれて
「若いというのはそれだけで素晴らしいね。大病で無くて良かったね。」と言ってくれました。
私は、悪いかとは思いましたがお爺さんにも入院理由を尋ねてみました。
「もう悪いところが多すぎて、何が悪いという訳でもないんだよ。寿命と言うには早いが
 私は満足しているんだ。おそらくもう退院は出来ないだろうけれどね。」
と言いました。内蔵の病気を併発しているとのことで、確かに長く話しているとつらそうでした。
僕は、急に悲しくなって「そんなことはない、僕は先に退院するけれど、お見舞いにも来るし
いつか退院できますよ。」と言いました。自分が病気になってみて、どんなに心が弱るか
少しだけ分かった気がしていたので、元気づけられればと思ったからでした。


続く