[行方不明の彼女]
前ページ

掃除をして、バスタブに向かうと、バスタブにも血が溜っていました。
思わずバスタブに手を入れてしまいました。血はまだ生暖かくて、誰かがまだ部屋に居るような気がしました。

実際は誰もいませんでしたが、私はパニックになって、色んな人にわけのわからない電話をかけまくってしまいました。

あの人と連絡がとれなくなってから2週間くらいしてから、手紙がポストに入っていました。
切手は貼ってなくて、直接ポストに投函されたのだと思います。

中身は子供が書いたような字で
「帰りたいけど、行けない。怖い、がんばる」
みたいなことが書いてありました。
近所に小学校があるし、私のアパートの周りで子供がよく遊んでいるので、子供の悪戯だと考えました。

それで、最近夢の中にあの人が出てくるんです。
必死の形相で、何かを訴えているのですが、何を言っているのかわかりません。

夢の中で私は彼に
「聞こえないよ」
というと、彼は更に顔をこわばらせて懸命に何かを訴えようとします。
そして彼の夢をみた朝は必ず彼の吸う煙草の匂いが部屋に充満しているんです。

この前知らないおばあさんが急に近寄ってきて、
「あなたの体は凄まじい風に巻き込まれている。一人で立ってて平気なの??」
と言われました。


次の話

お勧めmenu
top