[かんひも]

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僕とKは良く見ようと、
手や落ちていた枝で、苔や泥を取り除いてみました。
やはり道祖神のような感じでしたが、
何か感じが違いました。
普通の道祖神って、男女2人が仲良く
寄り添って彫ってあるものですよね?
でもその石碑は、4人の人物が、
立ったまま絡み合い、顔は苦悶の表情?
そんな感じでした。

ぼくとKは薄気味悪くなり、
「行こう!」と立ち上がりました。
あたりも大分薄暗く、僕は早く帰りたくなっていました。
「なんかある!」
僕がKの手を引いて歩き出そうとすると、
Kが石碑の足下に何かあるのを見つけました。
古びた、4センチ四方くらいの木の箱です。
半分地中に埋まって、斜め半分が出ていました。
「なんだろう?」
僕は嫌な感じがしたのですが、
Kは、かまわずに木の箱を掘り出してしまいました。
取り出した木の箱はこれまた古く、
あちこち腐ってボロボロになっていました。
表面には何か、布?のようなものを巻いた後があり、
墨か何かで文字が書いてありました。
当然、読めはしませんでしたが、
何かお経のような難しい漢字がいっぱい書いてありました。

「なんか入ってる!」
Kは箱の壊れた部分から、何かが覗いているのを見つけると、
引っ張り出してみました。

なんて言うんですかね。
ビロードっていうんでしょうか?
黒くて艶々とした縄紐みたいなので結われた、
腕輪のようなものでした。
直径10センチくらいだったかな?
輪になっていて、5ヶ所、石のような物で止められていました。
石のような物はまん丸で、そこにもわけのわからん漢字が
彫り付けてありました。

それはとても土の中に埋まっていたとは思えないほど
艶々と光っていて、気味悪いながらもとても綺麗に見えました。

続く