[かんひも]

僕の母の実家は、長野の山奥、
信州新町ってとこから奥に入ってったとこなんですけど。
僕がまだ小学校3、4年だったかな?
その夏休みに、母の実家へ遊びに行ったんですよ。
そこは山と田んぼと畑しかなく、民家も数軒。
交通も、村営のバスが朝と夕方の2回しか通らないようなとこです。
そんな何もないとこ、例年だったら行かないんですが、
その年に限って、仲のいい友達が家族旅行でいなくて、
両親について行きました。

行ってはみたものの・・・
案の定、何もありません。
デパートやお店に連れて行ってとねだっても、
一番近いスーパー(しょぼい・・)でも車で1時間近くかかるため、
父は「せっかくのんびりしに来たんだから」と
連れて行ってくれません。

唯一救いだったのは、隣の家に、
僕と同じ年くらいの男の子が遊びにきていたことでした。
あの年頃は不思議とすぐに仲良くなれるもので、
僕と、K(仮にKくんとします)は、
一緒に遊ぶようになりました。
遊ぶといっても、そんな田舎でやることは
冒険ごっこ、近所の探検くらいしかありません。

1週間の予定で行って、
確か3日目の夕方くらいだったと思います。
午後3時を過ぎて、日が落ち始めるころ。
夏とはいえ、西に山を背負っていることもあるのでしょうか。
田舎の日暮れっていうのは早いもんです。

僕とKは、今まで入ったことのない山に
入っていってみました。
はじめは、人の通るような道を登っていたのですが、
気がつくと、獣道のような細い道に入っていました。
「あれ、なんだろ?」
Kが指差す方を見ると、
石碑?が建っていました。
里で見る道祖神ののような感じで、
50センチくらいだったでしょうか。
だいぶ風雨にさらされた感じで、
苔むしていました。
続く