[ばりばり]
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「・・・俺、この夢見たことある・・・」

そう、前に一度だけこれと同じ夢を見たことがある。あのばりばりというメッセージも前の夢で自分が書いたものなのだろう。
この扉を出てすぐ右手にフェンスを切り取って作ったような簡単なドアがある。

前の夢では
そこを出た瞬間に目が覚めたのだ。だから、ゴールが近いということを知っていたから
「助かった」などと言ったのだ。
例えばりばりが追っかけてきたとしても、ダッシュで走ればもう追いつかれないという自信すらあった。

そう思って、私は扉のほうを見た。
絶句した。
私が通っていたころのその扉は常時開け放たれていた。それなのに今は閉まった状態であり、おまけにごつい錠前までしてあった。
「うそ・・・うそうそウソだろふざけんなっ!!!」
私はすっかり忘れていたのだ。最近小学校や中学校も物騒になってきており、登下校時間以外は全ての門を閉めておくことになっていたのだ。私が前にこの夢を見たときにはそんな規則はまだ
なかった。だから門はいつも開いていた。

私はどうしていいか全く分からず、天を仰ぎみた。すると、トイレの窓から誰かがこちらを見つめて
いるのに気がついた。
ばりばりと目が合った。
鳥肌がぶわっとたった。全身の毛穴が開く感じ。背筋が凍ったような気がして、体温も急激に下がっていった。

「逃げなきゃ!逃げなきゃ!逃げなきゃ!」
私はとにかく走った。あいつから少しでも離れなきゃいけなかった。そこで私は思い出した。
たしか給食センターの車が入る門がある。あれはかなり低いのでよじ登ることだってできるだろう。

そこへ向かってがむしゃらに走った。確かめてはいないが、すぐ後ろにばりばりがいるってことが何となく分かった。しかも自分より速い。50Mもしないうちに追いつかれるような勢いだった。
もうここからは感覚というものがほとんど無かった。ただ走って、門が見えて、それを全身で這うようにして登った。
最後は転がり込むように門の外へ身を投げ出した。

続く